2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波組織トラッキングによる左室心基部と心尖部での拡張開始時相差と拡張機能の検討
Project/Area Number |
20500420
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村田 和也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60314803)
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Keywords | 超音波医学 / 肥大型心筋症 / 医用システム / 生理学 / 解析学 |
Research Abstract |
対象と方法:インフォームドコンセントの得られた健常ボランティア25名、肥大型心筋症27名でいずれも正常洞調律の患者を対象とし、経胸壁心エコー・ドプラ法を実施した。肥大型心筋症群は心尖部肥大の有無により2群(APH(+)およびAPH(-))に分類した。左室心基部と心尖部の左室短軸断層像を記録し、データをオフラインでパーソナルコンピュータに転送した。左室心内膜を超音波組織トラッキング法で自動トレースし、拡張末期時相で左室短軸心内膜面を8等分するように関心領域(ROI)を設定し、各ROIの相対するROIとの距離の平均値を左室短軸収縮方向の距離変化として算出した。得られた時間-左室短縮曲線上で、大動脈弁閉鎖点から時間-左室短縮曲線の最小点から最大の40%に伸展するまでの時間(T40)を測定した。また、心尖部と心基部における隣接したROI間の円周方向への短縮の標準偏差を算出し、円周方向収縮のばらつきの指標とした。また、パルスドプラ法により左室流入血流速度波形(TMF)、左室駆出血流速波形を記録し、左室等容収縮時間、TMFの拡張早期減退速度を測定し左室拡張機能を評価した。結果:健常者と比較し、APH(+)、APH(-)ともに心尖部と心基部でのT40の差(dt-T40)は大であり、dt-T40はAPH(+)でより大であった。心尖部での円周方向の収縮のばらつきは肥大型心筋症で健常者よりも大であった。dt-T40は左室弛緩能の指標、LVmassと良好な相関がみられた。結論:肥大型心筋症では心尖部の不均一な収縮・伸展により心尖部と心基部との拡張時相開始時相の相違が生じ、この時相差が左室拡張能障害の一因であることが示唆された。
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Research Products
(20 results)