2008 Fiscal Year Annual Research Report
僧帽弁複合体のねじれ運動から見た虚血性僧帽弁逆流発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
20500427
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大門 雅夫 Juntendo University, 医学部, 准教授 (80343094)
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Keywords | 僧帽弁複合体 / 機能的僧帽弁逆流 / 心エコー図 / 画像解析 |
Research Abstract |
[データ解析環境の整備]:既存の設備に加え、データ解析に必要なPCおよび解析ソフトウエアを設置した。[症例の登録、心エコー画像記録]:当施設の入院、外来患者から症例の登録、画像データの収集を開始した。現時点で、虚血性心筋症7例の他、比較対象のための正常例6例、非虚血性拡張型心筋症12例を登録した。今後順次症例を増やしていく予定である。[画像の解析]:現在まで正常例6例(平均43±15歳)、機能的僧帽弁逆流12例(平均68±18歳)の解析を終了し、以下の項目について検討した。(1)僧帽弁輪部レベルと乳頭筋レベルの二つの左室短軸像において、TDI法を用いて心内膜面の捻れ角度を定量的に解析し、僧帽弁複合体のねじれ運動の指標とした。(2)3次元心エコーを用いて機能的僧帽弁逆流の発症機序と関係があるtethering distanceなどの指標とともに、左室容量、球状化などについても検討した。[これまでの結果]:正常例では、僧帽弁複合体は弁輪レベルと乳頭筋レベルにおいて左室収縮期に7.2±2.3度の捻れを生じていた。これに対して機能的僧帽弁逆流症例では、1.5±2.9度と有意に僧帽弁複合体の捻れは減少していた(p<0.05)。僧帽弁複合体の捻れ角度と左室駆出率には有意な相関はなく、この僧帽弁複合体の捻れ運動の低下には、左室全体の収縮能低下よりも左室局所の異常が関連している可能性が示唆された。僧帽弁の捻れが小さい方が、僧帽弁逆流を大きくなる傾向はあったが(r=0.3)、有意な相関は認めなかった。[研究方法の妥当性の検討]:これまでの検討で僧帽弁複合体の捻れ運動を定量的に確認でき、機能的僧帽弁逆流ではそれが低下していることが明らかとなった。今後は、乳頭筋や弁輪部に直接関心領域を設定した方が、その捻れ運動を正確に評価できる可能性があり、検討を要する。
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