2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の姿勢調節とその学習効果-視線移動と視覚刺激の影響-
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20500436
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 順子 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40208939)
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Keywords | 姿勢調節 / 加齢 / 予測的姿勢制御(APA) / 視覚刺激 / 頭部眼球運動 / 運動学習 / 学習効果の持続 / 学習効果の転移 |
Research Abstract |
1.視線移動による姿勢調節の実験では、視標に対して頭部眼球運動を行わせたところ、高齢者でも同様に垂直方向の運動で、頭部眼球運動の開始に先行して足圧中心の移動の開始(APA)がおこった。高齢者では若年者に比べて上方視の場合に前脛骨筋の筋活動の専攻が見られた。2.また、バーチャル・リアリティを用いた収束,発散の視覚刺激による姿勢の同様を、若年成人と健常高齢者を対象に実験を行った。視覚刺激により、両群とも足圧中心の総移動距離が増加したが、高齢者では若年者よりも少なかった。高齢者では、静止画像に対する姿勢の同様も少なかったので、加齢に伴う錯覚を形成する視覚刺激に対する感度が低下したことが要因と考えられた。以上のように、高齢者においても若年者と同様に視線移動、視覚刺激の際の姿勢調節が行われていたが、そのストラテジーに違いがある可能性もあり、更なる検討が必要と思われた。3.姿勢調節の学習効果については、リーチ動作の運動課題を通して転移が起こるか,その基礎にある姿勢制御システムに変化があるか,またそれらの効果が継続するかを調べた。健常成人を対象としてリーチ動作を1日100回連続して3日間行わせた後,1日休憩を挟み,その翌日と3ヶ月目に同様の手法で行った。その結果,訓練した利き手のみならず,訓練していない非利き手にもパフォーマンスの向上が見られ、また,パフォーマンスの向上に伴いAPAの出現が早期化する傾向がみられたことから,リーチ動作における学習効果の転移には姿勢制御システムの関与が示唆される.更に,リーチ動作のパフォーマンスの向上および姿勢制御システムの変化は3ヶ月後も保持されることなどから,これらの変化は、単なる四肢の訓練効果ではなく、中枢神経系が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)