2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500447
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河原 裕美 Hiroshima University, 病院, 研究員 (20457279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓削 類 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (20263676)
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Keywords | 微小重力環境 / 筋芽細胞 / 筋分化抑制 / 重力 / 筋委縮 |
Research Abstract |
筋の分化過程は,骨格筋では組織幹細胞である未分化な筋芽細胞を出発点とし,筋芽細胞同士が細胞融合して多核の筋管細胞,筋管細胞が成熟して横紋のある筋線維へと進む. 本研究では,ラット骨格筋由来の筋芽細胞(L6細胞株)を増殖させた後,分化誘導を行った(Day0).分化誘導開始時に,通常の1G環境で分化誘導を行うコントロール群(group1G)と,重力分散型模擬微小重力発生装置(3D-clinostat)を用いた微小重力環境(10^<-3>G)で分化誘導を行う実験群(groupCL)の2群に分けた.培養5日後(Day5),group1Gでは多核の細胞が観察され形態的に筋分化が起こっていることが確認できた.しかし,groupCLでは,多核の細胞が少なくgroup1Gと比較して筋分化が抑制されていることが形態的に示唆された.RT-PCRによるmRNA発現解析とwestern blotによるタンパク質発現解析から,groupCLでは筋線維への分化過程で発現するmyf-6の発現がgroup1Gより弱かった.次に,Day5の細胞をそれまでと同じ環境で培養する2群(group1G/1G,groupCL/CL)および重力環境を入れ替えた2群(group1G/CL,groupCL/1G)に分け,さらに5日間培養した(Day10).その結果,group1G/1Gでは筋分化が進み,groupCL/CLでは筋分化が抑制された.10^<-3>G環境から1G環境に移したgroupCL/1Gでは,抑制されていた一気に筋分化が促進された.逆に1G環境から10<-3>G環境に移したgroup1G/CLでは,進んでいた筋分化が後退しているような結果となった. 筋分化に重力が大きく影響していることが示唆された.今後は細胞内シグナル伝達等メカニズム解明に繋がる解析を行う予定である.長期臥床や宇宙滞在における筋委縮の予防や治療に役立てたい.
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Research Products
(3 results)