2008 Fiscal Year Annual Research Report
関節拘縮による関節軟骨変性メカニズムの解明およびリハビリテーションの効果
Project/Area Number |
20500449
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
折口 智樹 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90295105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖田 実 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50244091)
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Keywords | 関節 / 軟骨 / 拘縮 / 細胞外マトリックス / 血管新生 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
ラットの足関節の不動化による関節軟骨の変化を明らかにし、その変化の発現に関与する因子について免疫組織学的に検討した。8週齢のWistar系雄ラットの両足関節を最大底屈位の状態でギブス固定後、麻酔下で足関節を摘出。足関節の関軟骨の形態学的変化をヘマトキシリン・エオジン染色ならびに、サフラニン-O染色、トルイジンブルー染色で観察した。さらに、血管増生に関与するHIF-1α、VEGF、血管増生を阻止するchondromodulin-1、軟骨組織中の細胞外マトリックスの分解酵素であるMMP-3、MMP-13の発現を免疫組織染色によって検討した。その結果、固定群においては関節軟骨層が菲薄化しており、サフラニン-O染色、トルイジンブルー染色の染色性が低下しており、基質であるプロテオグリカンが減少していることが推測された。そして、軟骨細胞の肥大化と配列の乱れも認められた。しかし、コラーゲンIならびにコラーゲンIIの発現に有意な差を見い出すことはできなかった。固定群の軟骨細胞外のマトリックスでは、MMP-3やMMP-9、MMP-13の発現が充進しており、固定による軟骨層の菲薄化、プロテオグリカンの減少にこれらの蛋白分解酵素が関与していることが示唆された。 また、軟骨下骨層から血管様構造をしたものが侵入していた。軟骨層は通常無血管野であるが、固定群においてHIF-1αおよびVEGFの発現が増加していた。これらの血管増生因子の発現は軟骨細胞や血管様構造付近において多く認められた。一方、固定群では、関節軟骨、特にその深層において軟骨層への血流を阻害するChondromodulin-1の発現が低下しており、軟骨層への血管様構造の侵入に関与しているものと考えられた。
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