2009 Fiscal Year Annual Research Report
関節拘縮による関節軟骨変性メカニズムの解明およびリハビリテーションの効果
Project/Area Number |
20500449
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
折口 智樹 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90295105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖田 実 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50244091)
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Keywords | 関節 / 軟骨 / 拘縮 / アポトーシス / 細胞内シグナル伝達 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
昨年度の本研究において、不動化したラットの関節軟骨において軟骨層の菲薄化、軟骨基質の低下を明らかにし、軟骨基質の分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼの発現が増強していることを証明した。本年度は不動化による関節軟骨組織内の軟骨細胞の減少に着目して、軟骨細胞におけるアポトーシスの関与、ならびにアポトーシスに関連する細胞内シグナル伝達経路について検討した。8週齢のWistar系雄ラットの両足関節を最大底屈位の状態でギブス固定後、麻酔下で足関節を摘出した。摘出した足関節の軟骨細胞のアポトーシスの発現について、TUNNEL染色によって検討した。固定群では、コントロール群と比較して脛骨側の関節軟骨においてTUNNEL陽性の細胞が増加傾向にあった。そこで、アポトーシスに関連するFas、caspase-3、Bcl-2、Baxなどの発現について免疫組織学的に検討したが、固定による有意な発現増強は認められなかった。次に、不動化した関節軟骨組織においてNF-kBの発現を免疫組織化学的に検討した。固定群ではNF-kBの発現ならびにその上流であるAktの発現が増強していた。NF-kBは一般的にアポトーシスを抑制する転写因子として知られているが、一部の細胞においては逆にアポトーシスに対して促進的に働くことが報告されている。一方、AP-1の発現は固定によって増強されなかった。NF-kBは軟骨基質の分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼの活性化に関与する因子でもあり、不動化による関節軟骨の変性において重要な因子であることが示唆された。
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