2010 Fiscal Year Annual Research Report
関節拘縮による関節軟骨変性メカニズムの解明およびリハビリテーションの効果
Project/Area Number |
20500449
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
折口 智樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90295105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖田 実 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50244091)
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Keywords | 関節 / 軟骨 / 拘縮 / アポトーシス / 細胞内シグナル伝達 / マトリックスメタロプロテアーゼ / NF-kB / 持続的他動運動(CPM) |
Research Abstract |
本研究において、不動化したラットの関節軟骨において軟骨層の菲薄化、軟骨基質の低下を明らかにし、軟骨基質の分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼの発現が増強していることを証明した。そして、軟骨細胞におけるアポトーシスの関与、ならびにアポトーシスに関連する細胞内シグナル伝達経路について着目し、固定した関鰍骨においてTUNNEL陽性の軟骨細胞が増加傾向にあること、、NF-kBの発現ならびにその上流であるAktの発現が増強していることを明らかにしてきた。 本年度は、不動化による関節軟骨の菲薄化、軟骨基質の低下を抑制するために、固定中に週5回、毎日30分ずつ、持続的他動運動(CPM)を実施した。 1)軟骨層の菲薄化ならびに軟骨基質の低下ならびにMMP-3,-9,-13の発現はCPMによって抑制された。 2)軟骨細胞のアポトーシスも、CPMによって抑制傾向にあった。 3)関節を固定すると軟骨下骨層から軟骨層へ血管様構造が発現し、骨化を進めることを明らかにした。その際、関節軟骨への血管新生を惹起する増殖因子であるVEGFの発現が増強し、逆に血管新生を抑制するChondromodulin-Iの発現が低下することを明らかにし、さらに、CPMによって改善することを証明した。 以上より、不動化によってもたらされた関節軟骨層の菲薄化、軟骨基質の低下は、MMP発現抑制とともにCPMによって改善された。また、CPMは軟骨細胞のアポトーシスに対して改善傾向を認めた。さらに、不動化による軟骨組織の血管新生を伴う骨化も、VEGFの発現増強、Chondromodulin-1の発現低下の改善を介して抑制することが示唆された。
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