2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中患者の感覚障害に対する末梢神経刺激、中枢神経刺激併用の集中的治療
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20500451
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70295244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (30325782)
川平 和美 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
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Keywords | 感覚障害 / 電気刺激 / 低周波刺激 / 経頭蓋磁気刺激 / 振動覚 / 脳卒中 |
Research Abstract |
中枢性疾患の感覚障害のリハビリテーションについては、いまだ効果的な方法が確立されていない。我々はこれまで脳卒中患者において、低周波刺激や電気刺激等の末梢神経刺激で感覚障害が改善した症例を経験した。今回は中枢神経を刺激することで感覚障害を改善させることができるかどうか、また感覚神経を末梢と大脳皮質の両方から刺激することで、より大きな感覚障害の改善が得られかどうかを確かめた。 対象は5名の発症後6ヵ月以上を経過した慢性期脳卒中患者で、非障害側半球の運動野を1Hzの刺激頻度で4分間刺激して、その直後にリハビリテーションを施行し、これを2週間行った。これは、非障害側半球の運動野の興奮性を低下させることで、障害側半球の興奮性を増大させ、麻痺や感覚障害の改善をはかるものである。感覚の評価については、わずかの差も検出できるよう、温痛覚閾値の測定、フィラメントによる触覚測定、振動覚の客観的評価を行った。麻痺の評価については、上田12グレード、Fugl-Meyer assessment, Action research arm test,簡易上肢機能検査を用いた。1症例において麻痺の改善とともに感覚障害の改善を認めた。 また、中枢性疼痛を有する1症例では、障害側半球の運動野に5Hzの高頻度反復経頭蓋磁気刺激を500回行い、即時効果を調べた。刺激の前後で振動覚、触覚、温痛覚の明らかな変化はなかったが、visual analog scale (VAS)では改善が見られた。この直後に下肢の振動刺激を行うと、さらにVASの改善が見られた。rTMSと振動刺激の組み合わせは、別の日に行っても同様の結果が得られ、再現性を確認できた。経頭蓋磁気刺激により感覚野の興奮性を高めた状態で、末梢から大量の感覚刺激を入力することが、感覚障害、異常知覚の改善に有効と思われた。
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Research Products
(1 results)