2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児の巧緻性障害に対する治療法の開発-臨床生理学と磁気共鳴画像法用いた定量評価-
Project/Area Number |
20500455
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 付属病院, 准教授 (70251006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 章雄 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80448646)
大戸 達之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (60344892)
沼野 智一 首都東京大学, 人間健康科学研究科, 助教 (10399511)
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Keywords | 巧緻性障害 / 精密把握 / 臨床神経生理学 / 発達性協調運動障害 / 予測制御 / 発達障害 / 頭部MRI |
Research Abstract |
上肢の巧緻性動作障害はアメリカ精神医学会のDSM-IVでは「発達性協調運動障害」に分類さているが定義は極めて主観的なものである。また、小児では発達障害に属する自閉性障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害で上肢の巧緻性障害が指摘されているが、十分な臨床生理学的解析はなされていない。以上から、本研究では把握動作の中で、母指と他の指とを対立させておこなう「精密把握」に着目し、客観的、定量的解析のために精密把握機能の分析機器を作成し、小児の巧緻性障害の病態生理の解明をおこなった。 精密把握機能の分析機器には加速度計と、ひずみゲージを用いた把握力と引き上げ力の測定機能を組込んだ。予測制御を検査のために、簡単に交換できる錘によって機器の総重量を300gと900gに変更して測定した。機器はひずみ測定用のセンサーインターフェースに接続し、AD変換ボードを介して、パーソナルコンピュータにデータをサンプリングした。力の増加速度(微分値)を算出した。被検者は平行な接触面を親指と他の指で精密把握して摘み上げ、空中で4~6秒間保持した。発達性協調運動障害が疑われた小児5名で解析した。 把握力と引き上げ力はパラレルに増加したが、施行間のばらつきが大きく認められた。把握力の加速度は、引き上げ時において多相性の変化が認められた。把握力・引き上げ力の加速度はともに施行毎のばらつき認められた。このことから、発達障害と関連する発達性協調運動障害においては、把握動作のにおける把握力の出力に振戦様の動揺とて定常性が乏しいことが、不器用の原因となる可能性が示唆された。今回作成したデバイスは小児の巧緻性動作障害の分析に有用なツールであり、今後、本機器を用いて発達障害の疾患毎にさらに解析を進め、巧緻性障害の病態解明を続けていく予定である。
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