2009 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄半切後の運動回復に軸索が切断された錐体路ニューロンはいかに関わるのか?
Project/Area Number |
20500457
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
武本 秀徳 Prefectural University of Hiroshima, 保健福祉学部, 助教 (10453218)
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Keywords | 脊髄半切 / 運動回復 / 錐体路ニューロン / 軸索の可塑性 / 神経棘の可塑性 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,脊髄半切後における運動回復と脱神経領域へ側芽を送った錐体路ニューロンのシナプス構造の変化との関係を明らかにすることである.脱神経領域へ側芽を送った錐伝路ニューロンは,脱神経領域に注入された逆行性トレーサーによって可視化できる.本年度はラットに対し逆行性トレーサーとしてコレラ毒サブユニットB(CTB)を用いて,錐体路ニューロンが可視化されるのに要する日数を探索した. 実験動物として,体重200-250gの雌性SDラットを用いた.L1レベルの椎弓切除により腰髄を露出した後,腰髄右側に1%CTB-Alexa 488を2カ所,各0.1μlをマイクロインジェクションした.この後,2-14日間飼育した. 結果,腰髄に注入されたCTBが錐体路に到達するには,少なくとも7日を要することがわかった.この結果は,一昨年度の研究で用いた逆行性トレーサーフルオロゴールドで要する飼育期間に等しい.7日の飼育期間を要することは,脊髄半切後の脳内における錐体路ニューロンの変化をリニアに捉えることを困難とする. すでに他の研究者により,ラットにおいて軸索が切断された錐体路ニューロンのシナプス構造の変化が数値的に示されおり,これと本研究計画による結果を比較することを目標としてきた.しがし,ラットを実験動物とすることは無理があるようだ.より短い期間でトレーサーが錐体路ニューロンまで到達できる実験条件は,より小さな体を持つ動物を用いる必要があるのだと考えられる.他の研究者の報告をみると,ラットに比べ半分以下の体長を持つマウスでは,トレーサーが錐体路まで到達するのに必要な時間は3日でよいようだ.すでにマウスを用いた実験を開始している.
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