2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500464
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木村 彰男 Keio University, 医学部, 教授 (70118941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正門 由久 東海大学, 医学部, 教授 (10173733)
大田 哲生 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20233132)
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Keywords | 脳波 / 筋電図 / 運動単位 / 発射頻度 / コヒーレンス / decomposition |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳波、表面筋電図、各運動単位の発射解析から、コヒーレンスの成り立ちを推測することである。これによって、その生理学的意義、運動調節における役割、病的状態における意義が解明されることが期待される。昨年度は、健常人102名に対して、コヒーレンス解析を行った結果、有意なコヒーレンスを65名に認めた。そのうち60名では、コヒーレンスのピークは、15-35HZのベータ帯域に認めた。 本年度はコヒーレンスが顕著に検出された被験者に対して、脳波、筋電図に加えてさらに運動単位の発射を記録し、それぞれの関係についてコヒーレンス、脳波からtriggerしての運動単位発射の解析、逆に運動単位発射からの脳波のback averagingなどを用いて、脳波、筋電図、運動単位の発射の関係を明らかにし、コヒーレンスの存在意義について検討した。これらには、筋電信号分解法decompositionを用いた。脳波および筋電図を多チャンネルで記録した。脳波はCzを中心に5-6チャンネル、筋電図が前脛骨筋(TA)から記録した。最大収縮の5-30%MVCを180秒間持続収縮させた。また針筋電図からは複数の運動単位を記録し、それぞれの運動単位の発射に分解した。その結果、表面筋電図と脳波のコヒーレンスは針筋電図と脳波のコヒーレンスと似た形をしていて、最大値を示す周波数も同じことが多かった。これより、筋電図に含まれる運動単位の数に比例してコヒーレンスが高くなることが予想された。しかしながら単一運動単位が筋電図よりも高いコヒーレンス値を示すことはなかった。 運動単位の発射時間間隔のヒストグラムを数個合算したものは、脳波の20Hzの発火間隔のところにピークが現れた。つまり、単一の運動単位は、一見脳波の位相に関係した活動をしていないように見えるが、数個の運動単位で見ると脳波の位相に関係した発火間隔の活動が多いと考えられた。来年度は、コヒーレンスが検出されない被験者に対しても同様に解析していきたい。
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