2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期の長期臥床に伴う筋萎縮とリハビリテーションによる軽減効果の機序解明
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20500470
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山内 秀樹 Jikei University School of Medicine, 医学部, 講師 (60220224)
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Keywords | 加齢 / 筋萎縮 / 抵抗運動 / ストレスタンパク質 / ミオスタチン / Akt |
Research Abstract |
ヒト加齢性変化の表現型であるF344×Brown Norway Hybrid ratの輸出規制のため,研究実施内容の変更を余儀なくされた.したがって,今年度は若年期,壮年期,老年期に相当するF344系ラットを対象として,3週間の非荷重による筋萎縮と非荷重期間に負荷した低強度抵抗運動の筋萎縮軽減効果について検討した.被験筋は姿勢調節や抗重力活動など基本動作の発現に重要な遅筋のヒラメ筋とした.3週間の非荷重による筋萎縮は若年期に比べ壮年期,老年期で顕著であった.低強度抵抗運動はいずれの加齢段階においても筋萎縮を軽減したが,その効果は若年期>壮年期>老年期で,加齢に伴い運動効果が低下する傾向が認められた. 筋量調節に関与する調節因子のタンパク質発現量を解析したところ,いずれの加齢段階においても,非荷重によりHSP72,αB-crystallinなどストレスタンパク質の発現量の低下,筋肥大抑制因子であるミオスタチンの発現量増加,タンパク質の合成促進と分解抑制に関与するAktの活性(総Aktに対するリン酸化型Aktの比率)の低下がみられた.非荷重期間中の抵抗運動は非荷重に伴うストレスタンパク質の発現低下とミオスタチンの発現増大を抑制したが,Akt活性の低下を抑制することはできなかった.興味深いことに,非荷重によるミオスタチンの発現増大は若年期に比べて壮年期,老年期で大きかった.また,ミオスタチンの発現増大に対する抵抗運動の抑制効果は若年期に比べて壮年期や老年期では小さかった.今年度の成果から,筋肥大抑制因子のミオスタチンが非荷重による筋萎縮や抵抗運動のリハビリテーション効果の加齢差に関与していることが示唆された.
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