2009 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞を用いた温熱療法の最適有効量の決定と効果発現機序の解明
Project/Area Number |
20500476
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
平上 二九三 Kibi International University, 保健科学部, 教授 (60278976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 良男 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (70116200)
秋山 純一 吉備国際大学, 保健科学部, 准教授 (00309600)
元田 弘敏 吉備国際大学, 保健科学部, 講師 (30278999)
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Keywords | 正常ヒト線維芽細胞 / 温熱刺激 / 三次元様増殖 |
Research Abstract |
我々はマウス線維芽細胞(10T1/2)と担体(ハイドロキシアパタイト,HA)を用い、三次元様増殖の形成率を指標として温熱療法の最適条件を検討してきた。三次元様増殖とは、通常10T1/2は単層で増殖するが、温熱処理後、HAの全周を囲んだ細胞が重層し、立体的に増殖したものを指す。 21年度は10T1/2を正常ヒト細胞に代え、またHAを平面絹に代えて実験を行った。その結果、温熱刺激の最適条件が43℃10分であることが判った。この刺激量によって細胞はダメージを受けアポトーシスが誘発されるが、生き残った細胞の増殖能が亢進した結果、通常の培養ではみられない三次元様増殖を誘発することを実験的に確かめた。このことから医療現場で経験的に行われている温熱療法をEBM(Evidence Based Medicine)の観点から検討できると考えた。 本研究成果は、International Journal of Molecular Sciencesに投稿し10月30日に受理され11月号に掲載された。この基礎研究における臨床的意義は、短時間の温熱刺激でも細胞が変化するということを認めているので、理学療法で行われている短時間の温熱療法の効果と一致する。また、43℃10分の温熱刺激はp38MAPK経路を介して三次元様増殖に働き、p38タンパク質とその下流のHsp27タンパク質が活性化(リン酸化)し、Hsp27がアポトーシスを防いでいることを実験で確かめた。これらに実験結果は、温熱療法における細胞レベルでの即時効果を検証するための基礎資料になり、22年度も継続して研究を進めたい。
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