2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞を用いた温熱療法の最適有効量の決定と効果発現機序の解明
Project/Area Number |
20500476
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Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
平上 二九三 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (60278976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 良男 吉備国際大学, 保健科学部, 教授 (70116200)
秋山 純一 吉備国際大学, 保健科学部, 准教授 (00309600)
元田 弘敏 吉備国際大学, 保健科学部, 講師 (30278999)
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Keywords | 正常ヒト線維芽細胞 / 温熱刺激 / p38 MAPK / Hsp27 |
Research Abstract |
我々は温熱療法の治療効果を細胞レベルから検証する基礎研究を行ってきた。これまでの研究では、熱ストレスに対する直接的な保護作用として働くHsp70やHsp27などの熱ショック蛋白質が、細胞損傷と機能回復に強く簡与していることを明らかにしてきた。 平成22年度における研究では、培養細胞に温熱刺激を与え、温熱反応とそれに関わるシグナル伝達系としてp38 MAPキナーゼ経路に焦点をあて、p38の下流にある転写因子であるHsp27の働きについて調べる実験を行った。ヒト線維芽細胞に37,40,43,45℃で各10分間の温熱刺激を与えた直後と1時間後および6時間後のリン酸化p38タンパク質の発現量およびリン酸化Hsp27タンパク質発現量の経時的変化を調べた。 その結果、リン酸化p38タンパク質の発現量は、43℃10分間処理直後では明らかに増加するものの、徐々に減少し6時間後では37℃コントロールレベルまで低下した。また、リン酸化Hsp27タンパク質の発現量は、45℃10分間処理において1時間後をピークに直後より増加を示し、6時間後に低下した。さらに、p38 MAPキナーゼ阻害剤SB203580を投与したものは、リン酸化Hsp27タンパク質の発現量が45℃10分間処理1時間後で低下し、直後と6時間後で大きな減少がみられた。 これらの結果から温熱療法における細胞レベルの効果発現機序は、p38 MAPキナーゼ経路を介することが示唆された。本研究結果は、温熱療法の効果判定を分子生物学的に示すための重要な知見になると考えられ、今後、温熱治療効果の検証を細胞生物学的に決定することで臨床応用につなげたいと考えている。
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