Research Abstract |
寝たきり生活者に対する介護者の負担を軽減させるための多機能型電動車椅子システムについて,二年目の開発をおこなった.まず,車椅子をフルリクライニング仕様へ改良した簡易ベッドが完成した.失禁者に対応させるトイレ移動ロボットについては,昨年度,洋式便座の上まで脚が伸びる機構を取り付け,排泄物タンクを持ち上げると同時に,脚部分が横方向へも広がり,居宅のトイレの上から排泄物を捨てることができる機構を提案した.本年度は,本体の伸縮機構として,パンタグラフ機構に変えたことにより,さらに小型化が実現し,居宅トイレの上をまたぐ動作を実現でき,かつ,車椅子の下に完全に収納でき,トイレ用水タンクをトイレ移動ロボットの上部に載せても車椅子の下に収めることができた.トイレ移動ロボットの移動性能については,マイクロコンピュータを用いて,直進,旋回,回転の基本的なロボットの自律走行試験を完了した.なお,トイレ移動ロボットを自動清掃させるためのトイレ移動ロボット搭載用ロボットアームについては,制御系の設計が完了し,機構の設計段階に入っている.一つのアームを用いてトイレの水タンクから給水し,もう一つのアームで排泄物タンクの中を清掃する方式をとる.簡易浴槽については,キャスタ付きアルミフレームを製作し,アルミフレーム内に簡易浴槽を固定した.軽量であるため,部屋の中を一人で簡単に移動できる.さらに,介護者の手動のハンドル操作により,寝たきり生活者を車椅子からベッド,簡易入浴槽に移すことができる手動リフトを現在開発中である.
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