2010 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者のための周辺状況認知システムの構築とその評価に関する研究
Project/Area Number |
20500486
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Research Institution | Takasaki University of Commerce |
Principal Investigator |
竹上 健 高崎商科大学, 商学部, 准教授 (70383148)
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Keywords | 視覚障害者 / 周辺状況認知 / 画像処理 / 超音波距離センサ |
Research Abstract |
当初構築した周辺状況認知システムに対し大幅な見直しを行い、ウェアラブルシステム構築のめどを立てることができた。 下り階段やホーム端などのセンシングでは斜め下方の計測が必要となるが、超音波距離センサでは、床面が滑らかな場合は床面からの反射が直接センサに帰らず、実際より大きな値となって計測されることを確認した。反射が直接得られる条件では、センサを前方と斜め下方の2個を組合せて計測することで、下り階段などが検出できることを確認した。また、当初は障害物を確実に検出できるように広指向性のセンサにてシステム開発を開始したが、計測角約15°と約75°のセンサで計測比較した結果、狭指向性のセンサは幅の狭い障害物などの位置を精度良く検出できることを確認した。 カメラ系では、新たに水平にカメラ2台を配置したステレオ視による距離計測を追加した。画像の上部・中部・下部の3ヶ所で距離計測を行うシステムであり、連続計測において距離値が大きく変化する点に着目する。この距離値の変化点は3ヶ所で時間的なずれが起きるため、上部での変化点で段差検出モードに入り、中部での変化点検出で利用者に注意を促し、下部の変化点が観測された段階で確定情報を与えるなど、周辺状況認知システムへの有効性を確認することができた。 視覚障害者への聞き取り調査を実施したことで、白杖は利用者がそれぞれ、たたいたり滑らせたりして独自の使い方をしていることがわかった。白杖はその色で視覚障害者であることを周知するとともに触覚によるセンシング手段であることから、白杖にいろいろな計測装置を取り付けるべきでないと判断し、周辺状況認知はウェアラブルシステムへと方向転換を決定した。 ステレオ視と超音波距離センサによる距離計測を組合せることで、照明条件に左右される画像処理と滑らかな床面で誤検出の恐れのある超音波による計測を互いに補完できる可能性を確認した。また、ウェアラブルシステムにすることで両手が自由に使えることになり、白杖を使ってこれまでと同様に状況確認が行えることになる。現在、簡易的なウェアラブルシステムを構築して実験を行っており、今後、ステレオ視と超音波距離センサの計測組合せ条件や認知の判断基準を確立していく予定である。
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Research Products
(4 results)