2010 Fiscal Year Annual Research Report
電力供給を伴わない福祉機器用水素吸蔵合金アクチュエータの研究開発
Project/Area Number |
20500489
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 満 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (10300047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井野 秀一 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (70250511)
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Keywords | 福祉用具・支援機器 / 健康・福祉工学 / アクチュエータ / 水素吸蔵材料 / 省エネルギー技術 / エネルギー有効利用技術 / 自然エネルギーの利用 |
Research Abstract |
水素吸蔵合金(MH)アクチュエータは小型で大出力、無騒音・無振動、柔らかな動作などの利点をもつ動力源で、福祉機器に適しており、動作支援機器やリハビリ機器等への応用が図られている。MHアクチュエータの特徴は熱で動作する点であり、環境中にある熱源の供給で水素放出させ、自然冷却で水素吸収をさせると、電力供給が不要の動力源となり得る。本研究の目的は環境に廃棄される熱や太陽熱を積極的に利用して電力や燃料の供給なしで駆動するMHを利用したエネルギーレスアクチュエータの開発である。2008~2009年度は、これまで廃熱駆動を困難としていた低品質熱源によるMHの水素放出特性と熱量供給遮断後の水素再吸収特性の低さを、MHの合金組成の改良等により克服し、低温熱源での駆動に目処をつけた。 本年度は、太陽の放射熱を熱源として駆動させるための基礎的な特性を実測する実験装置を構築し、複数のMH組成の挙動を実測し、水素吸放出特性が良好な組成を特定した。さらに、太陽光への暴露と遮光により駆動する太陽光駆動MHアクチュエータのプロトタイプを製作し、晴天の屋外で動作特性を実測したところ、20分程度の太陽光への暴露で有効水素移動量の約25%を放出し、さらにその後太陽光を遮光して20分程度で放出した水素をすべてMHに吸収できることを確認した。最も重要な課題であった自然冷却での水素吸収反応がほぼ期待すべき特性で実現可能なことが確認されたほか、太陽光への暴露と遮断の操作のみで所定の水素放出と吸収反応が連続して達成されることも明らかとなり、水素圧を空気圧縮機構に導入することで空気コンプレッサーとしての利用が可能であることが示された。以上の成果より、本課題の目的である電力・燃料供給不要の動力源がMHを利用して実現可能であることを確認するに至った。さらにMH組成の最適化とMH容器とMH自体への熱伝導特性の最適化によって動作速度のさらなる改善が見込まれる。
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