Research Abstract |
研究の目標は,高齢者入居施設や家庭で日常的に,特に意識せずに,身体機能の評価・維持が行えるシステムを開発することである.たとえば,洗面所での歯磨き,廊下の歩行や居間でのくつろぎタイムに,利用者の状態を推定して適切なタイミングで働きかけ,体の動きや状態を誘導し,身体活動を賦活するとともに,自然な条件統制のもとでの計測を行うしくみを考案する.初年度の実施内容は以下のとおりである. 1.維持・評価すべき身体機能として,歩行に関わる筋力・バランス機能を中心に,上肢の可動域や柔軟性,握力や指の把持力を抽出した.廊下ではフォワードランジとニーアップ,洗面所では,足底屈,足背屈,スクワットとストレッチ,居間では下肢の運動に加えてハンドグリップを選定し,ながらでできるゲーム性のあるトレーニングのアイディアを抽出し,試作に着手した. 2.歩行機能評価に足底圧を用いることを検討し,スリッパなどに装着して簡便に計測する可能性も検討した.また,廊下で複数ユーザの識別を意識させずに行うべく,歩行時の足底圧の特徴を用いた個人識別の可能性を検討した.洗面所での重心動揺計測を安定に行うための視覚刺激提示について検討した. 3.すでに受けた科研費の成果であるドラフター型装置を本研究に適用し,力触覚による動作誘導を実現した.またスイッチやボタンを用いた任意関節の運動支援装置を発展させ,市販ゲーム機のインタフェースを用いていろいろな運動ができるような環境を試作し,可能性を検討した.局所的に音を提示できるパラメトリックスピーカを制御することにより,利用者の行動に合わせてバーチャルな音源を追従させ,動作や姿勢を誘導する手法について検討した.また,ネットワークロボットを用いた注意喚起・動機づけの可能性について検討を始めた.
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