2008 Fiscal Year Annual Research Report
身体運動知覚の誤差修正メカニズムの解明:感覚運動表象の学習効果の検証
Project/Area Number |
20500503
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 秀幸 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (70231412)
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Keywords | 知覚 / 運動制御 / 行動学 / 脳・神経 / 学習 |
Research Abstract |
動作の空間的正確性が要求される運動課題の学習を通して,その運動習熟度が意識的運動知覚の精度に及ぼす影響を明らかにする目的で実験研究を行った.動作の空間的正確性を要求する運動課題として,ターゲット追跡課題を用いた.テーブルに置かれたスクリーン上に,等速で右から左へ移動するターゲットを提示した.被験者には追跡操作盤のレバーを握り水平にスライドさせて,できるだけ正確にターゲットを追跡するよう指示した.ターゲットは移動途中で消失するため,また被験者の腕と追跡操作盤はテーブルの下にあって見えないため,被験者は運動感覚のみに頼りターゲットを追跡しなければならなかった.トレーニング群では,課題試行ごとに追跡結果の知識(ターゲットとレバーの軌跡の変化グラフ)が提示され,正確な追跡動作が獲得されるまで練習を繰り返した.一方,対照群では追跡課題の練習を行わなかった.意識的運動知覚の精度を測定する課題として,手の位置判断課題を用いた.手の位置判断課題では,被験者は追跡操作盤のレバーをターゲットとほぼ同じ速度でスライドさせている間,追跡レバーが特定の位置に来た時に音刺激を与えた.被験者にはその位置をスクリーン上のスケールを使って判断させた.ターゲット追跡練習により,消失したターゲットの追跡誤差のみならず,手の位置判断課題の誤差も有意に低下した.しかしながら,手の位置判断誤差は手の位置を示す視覚情報が与えられた条件よりも有意に大きかった.これらの結果は,運動知覚における視覚優位性は維持されるが,固有受容感覚由来の情報による運動知覚の精度は運動習熟によって高まる可能性を示唆する.この研究成果は,2009年8月に開催予定の国際学会(The European Conference of Visual Perception)において発表を予定している.
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