2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動課題遂行中脳波の分析による知覚-動作制御過程への認知的情報処理の関与について
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20500507
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
勝又 宏 Daito Bunka University, スポーツ・健康科学部, 准教授 (40398350)
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Keywords | 脳高次機能学 / 運動制御 |
Research Abstract |
運動課題を達成するためには、動作とそれを展開する環境についての知覚過程と、課題遂行のために状況に応じた動作の組織化を行う動作産出過程の連携が必要である。特に、視覚情報を処理する大脳皮質経路は、Dorsal-Ventral streamsのふたつがあり、それらはそれぞれ動作を組織化する・認知活動によって対象物の特性を認識するということに関与していると考えられているので、認知機能が動作の組織化にどのように関与しているのかについて検討することは興味深い。そこで、本研究は、このしくみについて、Reaching-Graspingとize-matchingというふたつの知覚-動作課題を用いて検討した。これらの課題は、同じ視覚標的に対して同様の手指による関節運動を形成するのだが、その視覚-運動遂行の過程は、認知活動の観点からは異なるもの考えられる。10名の被験者について、それらの課題遂行中の脳波を計測し、異なる大脳皮質部位の脳波データ間における周波数成分の相関について時系列分析(Coherence analysis)を行った。課題遂行にける認知的活動の関与を示唆する有意なcoherenceが、前頭部と頭頂・後頭・側頭・中心回との間において、および側頭-中心回/頭頂間においてみられた。これらのcoherenceついては、Reaching-GraspingとSize-matchingにおいて同じようなパターンを示したものの、それらの課題間の有意な差が、後頭-頭頂、側頭-中心回/頭頂、および前頭-中心回間にみられ、課題遂行における認知的情報処理の違いを示唆した。現時点で得られた知見に関しては、2009年7月にフランスにて開催される運動制御に関する国際学会において発表する予定である。また、64チャンネルからなる脳波データは、多角的な観点から分析を試みる必要があると判断し、現在分析を継続中である。
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