2010 Fiscal Year Annual Research Report
保育者養成における専門性育成の現状と課題-幼児の体育・運動指導に関して-
Project/Area Number |
20500514
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30335955)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 洋子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (90064378)
|
Keywords | 幼児 / 運動指導 / 保育者養成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、保育者養成校におけるカリキュラムの課題を明確にし、十分な専門性を持った教師によって幼児期の運動に関する教育がなされているのかという保育界の問題を検討するとともに、専門的知識を有する保育者のあり方を提言していくことであった。そこで本年度は、(1)養成校における指導内容と保育者の専門性の検討、(2)所有免許による比較からその差異の有無と具体的な内容の検討、(3)養成校における課題、園での運動指導のあり方の提言をまとめた。 シラバスからは幼児の体や運動に関する一通りの内容が網羅されていた。また、幼稚園教員はこれらの学習内容を全体的によく学んでいると認識していた。しかし一方で運動指導に関しては、早期からの専門的な技術指導が必要であると考えている者がおり、特に幼児期の運動発達や運動指導に関する学習度の自己評価が高い者ほどその傾向が高かった。このことから学習しているであろう内容と理解の内容には食い違いがあることが示唆された。 免許種では1種免許所有者と2種免許所有者に学習内容に違いはなく、むしろ2種免許所有者の方が1種免許所有者よりも各内容について学習しているとの認識は高かった。このことは、1種は小学校教員免許、2種は保育士資格の併有率が高いこととの関連が示唆されたが、必ずしも1種が小学校との連続性について十分学習しているとはいえないことから、その理由は明らかではなかった。 養成段階での学習は基本的なものが中心となるであろうが、実際の保育において教員は運動指導の専門性に課題を持っており、今後は現職教育の充実が図られるべきであろう。さらに養成段階では、幼児期の発達の特徴や幼児教育の基本に対するさらなる理解を図ることはもとより、具体的な運動指導のあり方の理解、発達や学びの連続性を踏まえた小学校との連続性についての理解や、具体的な遊びの体験も必要であろう。
|