2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルフ・マネジメント力の育成を目指した小中学校9年一貫保健体育カリキュラムの検証
Project/Area Number |
20500519
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
中 比呂志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00217639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 靖士 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (90379058)
藪根 敏和 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10166572)
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Keywords | 保健体育 / カリキュラム / 小中9年一貫 / セルフ・マネジメント |
Research Abstract |
京都教育大学附属京都小中学校の児童・生徒を対象に、継続して文部科学省新体力テスト、基本的生活習慣調査及び運動技能の習得状況に関する調査を実施すると共に、これまでの調査資料の分析結果から、体育カリキュラムの問題点を検討した。 体力に関しては、学年進行とともに長座体前屈、ボール投げ及びシャトルランに関して全国平均値との格差が拡大する傾向にあった。また、これまでの資料を縦断的に分析した結果、測定項目や学年によってバラツキがあるものの、女子では小学校期から中学1年ごろまで顕著な発達が見られるが、中学2年生以降は顕著な増加が見られなくなる傾向にあった。男子においては、握力や立ち幅跳びに関して中学校期において顕著な増加が見られるが、その他の項目においては学年の進行と共にその発達量の減少傾向が伺われた。さらに、体育授業で取り上げられる基礎的な運動技能の習得状況を調査した結果、前回と同様な技能習得パターンが見られ、マット運動や跳び箱運動の比較的難度の高い運動技能では、最終的に高い習得率に至らないこと等の課題が明らかとなった。また、運動有能感について縦断的資料を分析した結果、身体的有能さの認知や統制感において学年進行に伴う低下傾向が認められ、児童の運動や体育授業に対する意欲の低下が懸念された。特に、運動有能感が低下した児童では体力水準が低い児童の割合が高いことや、男子において運動やスポーツの実施が少ない可能性が示唆された。 小中学校期は体力や技能の獲得の面で非常に重要な時期である。本研究を通して、運動有能感、特に身体的な有能さの認知や統制感に関する低下傾向、器械運動に関する技能の習得不足等の課題が明らかとなったことから、今後は、小中9年間を見通した系統的な保健体育学習のためのカリキュラムのさらなる改善の必要性が示唆された。
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