2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における身体的コミュニケーションとしての模倣の有効性
Project/Area Number |
20500531
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Research Institution | St.Mary's College, Nagoya |
Principal Investigator |
鈴木 裕子 St.Mary's College, Nagoya, 教授 (40300214)
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Keywords | 身体による模倣 / 相互行為 / 感性 / 幼児 / 保育 / 身体的コミュニケーション / 尺度作成 / 事例研究 |
Research Abstract |
本研究では,幼児期において,身体的コミュニケーションを豊かに営むことが、他者とかかわる力の獲得にどのような影響を与えるのか、その後の社会で生きる力にどのように繋がるのかという問題提起を軸にして、幼児の「身体による模倣」に焦点を当て、その意味や機能を明らかにすることを目的としている。 平成21年度には,保育という場において,幼児の身体による模倣行為の機能と役割を明らかにした。具体的には,幼児期の身体による模倣行為を,自己と他者がお互いに影響しあう相互行為という視点で捉え,身体による模倣の機能を明らかにし,保育の場でその機能が果たす役割を実証的に検討した。その結果,身体による模倣によって,他者との相互行為が活性化する役割が多様に捉えられ,それらの役割により,子どもたちの遊びに「流行」が生み出されることが実証され,保育という場における身体による模倣の有効性が具体的に示された。また,幼児期の身体による模倣行為には,身体双方向性のもとで,他者とのほどよい一致を生み出す機能があるという観点から,幼児における身体による模倣の力としての「他者との身体的なコミュニケーションを活性化させる力」「自己理解と他者理解を促す力」「独自な表現を導く力」について論じた。そして,子どもの模倣に対して「まねしてもいいよ」と言える理由は,これらの力への大人の見方に大きくかかわることが示された。 並行して身体による模倣発現や,身体の相互行為に深く関わると考えられる「感性」の働きを検討することを試みた。「幼児の感性尺度」の開発により,感性の働きの3側面「感受と交流」「判断と志向」「創出と伝達」,感性を構成する3因子「独自な感受と創出」「能動的な応答」「情緒的・道徳的な共感」が得られ,感性は他者との身体的なコミュニケーションを促進させる力であることが認められた。
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Research Products
(6 results)