2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500535
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
百鬼 史訓 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20126296)
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Keywords | 剣道難聴 / 道場 / 環境騒音 / 音響環境 / 残響音 / 残響時間 |
Research Abstract |
<目的>剣道難聴を予防するための環境対策として、剣道を実施する道場等の環境騒音を低減させることが重要と考え、代表的な剣道場や体育館などの音響環境(残響音)の実態調査を行い、適正な道場の建物構造・材料などについて検討するための基礎的資料を収集することを目的とした。 <方法>1)音響環境調査;剣道場および体育館の一隅にスピーカー(Victor)を配置(2m×2m×1.5m)し、片壁に向かって雑音発生器(リオン社製SF-06)により雑音を発生させる。他の3箇所隅(2m×2m)及び中央部に精密騒音計(リオン社製NA-27)をセット(高さ1.5m)し、発生した音からの反響音の各周波数毎(500Hz~5kHz)の残響時間を測定する。調査は、道場等の窓や扉を閉鎖した場合と、解放した場合を測定した。 2)調査対象となる場所:京都武徳殿、京都武道センター、筑波大学剣道場、東海大学剣道場、東京農工大学剣道場、東京芸術大学体育館、東京農工大学体育館等である。 <結果>1)全調査対象の残響時間(閉鎖時)は、5kHzで1.05~2.15秒、4kHzは1.28~2.46秒、3kHzは1.45~2.7秒、2kHzは1.55~3.04秒、1kHzは1.3~3.7秒、800Hzは1.55~3.71秒、そして500Hzは1.42~4.1秒となり、周波数が高いほど残響時間は短くなっていた。一方、解放時の残響時間は、5kHzで0.85~1.86秒、4kHzは1.00~2.12秒、3kHzは1.27~2.41秒、2kHzは1.38~2.89秒、1kHzは1.30~3.16秒、800Hzは1.36~3.24秒、そして500Hzでは1.33~2.99秒であり、閉鎖時と同様、周波数が高いほど残響時間は短くなり、開放時の残響時間は、閉鎖時と比較して16~23%低下することが明らかになった。 2)伝統的な構造の道場に比較して体育館の場合には、各周波数における残響時間が長くなっていた。これは建物構造つまり天井が高く室内容積も大きいことが一因と考えられるが、壁や天井の材質等も関連するものと考えられ、今後さらなる検討が必要と考える。
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