2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500537
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
深澤 浩洋 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (50313432)
|
Keywords | 意味生成論 / スポーツ / 教育学 / 哲学 / 内在的価値 / 拡大体験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スポーツにおいて経験する可能性のある意味生成の内容や生成のプロセス・要因について理論的に検討することである。平成21年度に設定した課題は次のとおりである。 (1)意味論のレヴューを通して、特に行為や経験を通じて発生する意味の特徴や本性を把握する。 (2)スポーツにおいてどのような意味が経験されるかについて、範疇論的検討を通じてその内容を整理し、概念的に明らかにする。 (3)矢野理論の教育学における評価とダブルバインド理論の信頼性を確認し、その検討結果に基づいて意味生成のプロセスモデルを構築する。 (4)(2)で明らかとなった内容に対して、(3)のモデルを適用する。 意味が生成の運動そのものとして捉えられる側面を持つことを導き、それが溶解体験や拡大体験において発生する意味生成の様相にみられることを作田啓一の著作を中心に検討することで明らかにした。特に、矢野智司や久保正秋らが溶解体験に照準したのに対し、本研究では、拡大体験においてもスポーツにおける意味生成の可能性があることを、事例の検討を通して導くことができた。これは、スポーツ教育において、体力的評価や技能的評価、道徳的評価とは異なる次元にスポーツの価値を体験する可能性があることを示すとともに、従来社会的態度の育成に関連付けられてきた社会性に関して、その基盤をなすような他者体験が拡大体験においてなされる可能性があることにも繋がり、より基礎的な理論を提供することを意味する。 なお、(3)および(4)については、ベルクソンの生成論に意味生成プロセスの手がかりを見いだせたことから、関連資料の分析・解読に21年度後半の期間を当てたため、それを踏まえ、22年度に検討する。
|