2010 Fiscal Year Annual Research Report
混住化地域における総合型地域スポーツクラブの存立構造と機能
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20500550
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
後藤 貴浩 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20289622)
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Keywords | 混住化地域 / 地域構造分析 / 総合型地域スポーツクラブ |
Research Abstract |
混住化地域における総合型地域スポーツクラブの存立構造と地域社会形成に関する機能を実証的に明らかにすることを目的に、本年度は,対象地域の構造分析結果の考察、総合型の内部構造分析ならびに総合考察を行った。結果は以下のとおりである。 スポーツが限られた地域の中で社会形成的な役割を担う可能性があるのは、その地域が明確な物理的・空間的な範域を有し、そこに住む人びとの相互認識が可能な状態にある場合ではないかということが指摘された。混住化地域のようにスプロール的に土地開発が行われ関係性の薄いところでは、一部の関係のある人々を"顔見知り"にし"交流"することは可能であると考えられた。しかし、このようなスポーツをする人が増えることと地域社会における関係性が積み上げられることは決して短絡的に結び付けられないということである。同じようなスポーツ活動であってもその置かれた地域社会の構造的・関係的なあり様によって異なる社会的位置に位置づけられるということが明らかにされた。さらに、当該地域に設立されている総合型については以下のことが明らかにされた。第一に、総合型が地域の独自の歴史的・時間的軸の中で設立・運営されていること、第二に様々な地域スポーツ組織との緊密な関係性の中で存在すること、第三に混住化地域でありながらも町全体に残存する共同体的な行動様式に支えられた存在であるということであった。つまり、今回の調査では総合型の具体的な機能を示すことができなかったものの、総合型の存在そのものが地域社会に支えられ、かつ、地域社会における人びとや組織間の関係性を支えていく可能性が示されたと考えられる。
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