2010 Fiscal Year Annual Research Report
人工炭酸泉連浴による筋毛細血管新生と筋持久力向上の可能性
Project/Area Number |
20500556
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Research Institution | Japanese Red Cross Hokkaido college of Nursing |
Principal Investigator |
山本 憲志 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (70299329)
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Keywords | 人工炭酸泉 / 近赤外分法 / 筋持久力 / 筋毛細血管新生 |
Research Abstract |
我々は、これまでにヒトの人工炭酸泉部分浴中に浸漬部筋組織の血流量と酸素消費量が水道水浴中よりも大きい傾向を示し、2週間の連浴により浸漬部筋代謝の亢進が起こること、下腿部のレジスタンス・トレーニング後の人工炭酸泉足浴により筋硬度が低下することを報告した。また、人工炭酸泉全身浴は心電図R-R間隔変動の周波数スペクトラム解析(HRV)から求めたHF領域(0.15~0.40Hz)のパワーを増加させ(Satoら、2009)、副交感神経活動の亢進によるリラックス効果が期待されている。作用メカニズムは不明ながら、人工炭酸泉浴を利用するスポーツ選手からは、からだの柔軟性が増すとの申告が多い。本年度は、人工炭酸泉全身浴によりからだの柔軟性が増加するか否かを確認し、そのメカニズムを検討するために行われた。その結果、局所および全身運動後の人工炭酸泉浴によりからだの柔軟性を示す関節可動域が増大することが分かった。からだ(関節)の柔軟性は、おもに反射回路を介した拮抗筋間のα-γ連関による筋緊張の程度に依存するとされ、上位中枢からのα-γ制御も要因である。炭酸泉水浴後に見られる筋硬度の減少が、末梢局所性か中枢性かは検討の余地があるけれども、先行研究が示す人工炭酸泉全身浴による副交感神経活動の亢進や交感神経活動の抑制効果が「リラリゼーション」として筋収縮制御にも影響しているのかもしれない。人工炭酸泉浴により浸漬部の筋代謝の増進と全身性のリラックス効果を高め、我々の行った実験条件下における人工炭酸泉全身浴が柔軟性を促進させる可能性を示唆するものと考えられる。 これらの結果について本年度は、国内学会5回の発表を行った。
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