2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語圏の学校教育におけるBewegte Schuleの実情と課題について
Project/Area Number |
20500557
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
近藤 智靖 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (50438735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡出 美則 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (60169125)
長谷川 聖修 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (10147126)
田附 俊一 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30197389)
丸山 真司 愛知県立大学, 文学部, 教授 (10157414)
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Keywords | Bewegte Schule / 動きのある学校 / ベベークテシューレ |
Research Abstract |
平成22年度は3ヶ年計画の最終年度であり、平成20~21年度に行ったBewegte Schule(以下、BSとする)の文献研究と現地調査に関するまとめの年である。各研究者が調査報告を行い、その結果、次の点が明らかになった。 1, BSには概ね4つの考え方があり、その理論的な背景も大きく異なっている。具体的には、BSの創設者であるウルス・イリーやウベ・ヒューゼが実践を行っているスイスでは、「健康教育」の理論を踏まえていた。ドイツ・ザクセン州のクリスティーナ・ミュラーらの取り組みでは「運動教育」の理論を踏まえていた。クルプシュ・ザールマンらの取り組みでは、ドイツ・ノルトラインヴェストファーレン州教育省が提唱する「学習の家」(Haus des Lernen)という考え方を基に、「学校は学習空間や生活空間である」といった教育学理論を踏まえていた。さらには、ドイツ・ヘッセン州マールブルクのラギングらは、「学校文化」という教育学理論を踏まえていた。こうした諸理論が、実践の差異を生み出していることが明らかになった。 2, 上記の理論的な差異を基にしてはいるものの、各実践校では、学校長の裁量によって、プログラムの内容が大きく異なることが明らかになった。たとえば、Sophie-Scholl-Schule in Giessenでは、「学校文化」という理論を踏まえ、障害を持っている児童と障害を持たない児童とが異質集団による協同学習を学校の柱としている。そこでは協同学習の大きなファクターとして運動を位置づけている。また、Glocksee Schule Hannoverでは、児童の全体性の発達という視点から運動が位置づけられている。このように学校の方針にあわせて運動の位置づけ方が異なっている。 今後は、こうした研究成果を踏まえて学会誌並びに各種シンポジウム等で成果を発表し、論議を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)