2008 Fiscal Year Annual Research Report
高地肺水腫発症に対する遺伝・環境的素因の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
20500559
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
樫村 修生 Tokyo University of Agriculture, 国際食料情報学部, 教授 (40161020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 智野風 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (30235220)
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Keywords | 遺伝子 / 動物 / 循環器 / 低酸素 |
Research Abstract |
本研究は,従来報告されている高地肺水腫発症と深く関連する低酸素性肺血管収縮の感受性に違いがある2系統のラットを用い,高地肺水腫の発症が遺伝的素因により生じるのか,環境的(後天的)素因により影響されるのかどうかについて検討した. 方法は,低酸素性肺血管収縮感受性が鈍いF344ラットと感受性が比較的鋭敏なWKYラットにおいて比較検討した.両ラットを低酸素曝露および持久的運動トレーニングを負荷し,飼育終了後肺動脈および肺組織を摘出し,2つの実験を実施した.(1)摘出灌流肺標本による肺循環動態の検討(2)肺動脈および肺組織におけるeNOSタンパク質発現およびeNOSmRNA発現の検討 その結果,肺循環動態は,F344ラットにおいて低酸素性肺血管収縮を抑制するとともに,低酸素曝露および肺灌流量増加の負荷に対して肺血管透過性の増大が抑制された.また,eNOSタンパク質発現は,低酸素曝露および運動トレーニングにより増大することが明らかになった.しかし,eNOSmRNA発現は,低酸素曝露および運動トレーニングにより変化がなかった.以上の結果から,高地肺水腫発症に関連する遺伝的素因は,低酸素曝露や運動トレーニングにより影響を受けないことが推察された.さらに,F344ラットにみられるように,低酸素性肺血管収縮が遺伝的に鈍い場合,eNOSタンパク発現が増大しそれが原因で肺循環動態(抵抗)も抑制傾向にあった.これらのことから,高地肺水腫発症の原因が,環境的素因より遺伝的素因の影響を強く受けることが推察された.
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Research Products
(4 results)