2010 Fiscal Year Annual Research Report
投球が肩関節回旋腱板筋の固有筋力に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
20500567
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
長谷川 伸 九州共立大学, スポーツ学部, 講師 (70350444)
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Keywords | 棘上筋 / 固有筋力 / 外転筋力 |
Research Abstract |
投球動作を頻繁に繰り返す野球投手では、棘上筋機能の低下による肩関節不安定性を原因とした肩関節障害が多くみられる。本研究は競技を継続する過程における棘上筋機能の変化を筋力、筋断面積、固有筋力という指標を用いて明らかにすることを目的とした。 はじめに、発育段階における一般的な棘上筋の固有筋力指数(外転筋力/棘上筋断面積)の変化を明らかにするため、野球競技を行っていない10~21歳の男性を対象とした横断的研究を行った。その結果、棘上筋の筋断面積、外転筋力は10~12歳群、13~15歳群は19~21歳群に対して有意に低い値を示したが、固有筋力は10-12歳群のみが19~21歳群に対して有意に低い値を示した。このことから、棘上筋の機能は質的には中学生段階で成人と同水準に達し、その後は筋量が増加することにより外転筋力が増加するという過程をたどることが示唆された。また、利き腕と非利き腕を比較してもすべての群において一方の優位性はみられず、いずれの発達段階においても棘上筋の固有筋力指数は両側が同等のレベルにあることが示された。 次に、大学生野球選手9名を対象に同様の指標を用いて評価してみたところ、投球側と非投球側の間に固有筋力指数の差は見られず、同様に野球投手の棘上筋の形態、機能を他の競技種目のスポーツ選手との比較を行っても、筋断面積や筋力では投擲選手群に比べて有意に低値を示したものの、固有筋力指数では各競技者群の間に有意な差はみられなかった。 これらの結果より野球投手の棘上筋機能を評価するにあたり、非投球側の固有筋力指数や、一般成人、スポーツ選手の固有筋力指数は重要な比較対象であり、肩関節障害防止の観点からは、棘上筋の固有筋力指数を一定の範囲内に維持することが重要であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)