2010 Fiscal Year Annual Research Report
予防と早期治癒をめざしたスポーツ傷害者の為の心身調律プログラム
Project/Area Number |
20500568
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
伊達 萬里子 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (10155294)
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Keywords | スポーツ傷害 / ストレス / ジャイロキネシス / 精神的健康パターン診断検査 / 脳波 / 重心動揺 / 皮膚温 / インボディ |
Research Abstract |
本研究は、スポーツ傷害によるストレス負荷の低減を目的として、生体に及ぼすストレス負荷の定量的評価と、ジャイロキネシス・メソッド(ヨガの呼吸法を基盤とする)による心身調律プログラムの効果を検討した。研究対象者は医師から右足首単純骨折と診断されたスポーツ傷害者とし、心身調律プログラムを治癒するまで3ヶ月間実施させ、その効果は生理・心理指標を用いて比較した。 結果では、(1)精神的健康度はQOL因子の生活に対する満足感が高上し、メンタルヘルスパターンは「ゆうゆう型」から「はつらつ型(ストレス適応型)」と変化した。(2)脳波の含有率ではα1・α2波が減少し、θ波とδ波が増加した。これはリラックスしたと言うよりもトレーニングによって身体疲労の回復の兆候を示したと考えられる。(3)皮膚温の測定では、末梢部位の手足に低下が見られたが、患部の右足は変化が少なかった。これは発汗の影響によるものと推測されるが、患部には血流促進がみられたと考えられる。(4)重心動揺計の測定では、総軌跡長が右足で20cm以上、左足は10cm減少し、足裏感覚が好転したことを示したといえる。(5)インボデイの計測では総合評価で上・下半身と左・右半身のバランスが虚弱で不均衡を示していたが、トレーニング後は左・右半身のバランスが均衡となり、さらに下半身では虚弱→標準へと移行した。 以上の結果から、心身調律プログラムはストレス軽減と運動パフォーマンス(体軸の安定)に有効である事が判明した。しかし、傷害の治癒過程における自然治癒力の影響については検討をしていないため、今後の課題が残ったと考える。
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