2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮抑制と萎縮からの回復促進のための方策にかかわる細胞内情報伝達系からの検討
Project/Area Number |
20500578
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
杉浦 崇夫 Yamaguchi University, 教育学部, 教授 (80136150)
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Keywords | 熱ストレス / アスタキサンチン / 筋萎縮 / 細胞内情報伝達 / 筋タンパク質合成 / 筋タンパク質分解 |
Research Abstract |
本研究は、熱刺激や抗酸化物質であるアスタキサンチン(Ax)投与ならびにそれらの組み合わせが、尾部懸垂によりもたらされる骨格筋萎縮を抑制するか否かについて、筋タンパク質合成ならびに分解に関わる細胞内シグナル伝達系から検討した。 実験動物には、8週齢のWistar系雄ラットを用い、体重が等しくなるように対照群(Cont)、尾部懸垂+接地無し群(UG)、尾部懸垂群(Sus)、尾部懸垂+熱ストレス群(Heat)、尾部懸垂+抗酸化食群(Ax)、尾部懸垂+熱ストレス+抗酸化食群(Heat+Ax)にグループ分けした。Ax群とHeat+Ax群には、尾部懸垂の2週間前から実験終了までAx食で飼育した。Heat群とHeat+Ax群には42℃で30分間、熱ストレスを尾部懸垂1日前、1日後、3日後、5日後に負荷した。また、Cont群とUG群を除く群に尾部懸垂開始1日後から1時間/日の接地を隔日に施した。尾部懸垂期間は7日間とした。被検筋はヒラメ筋とした。 相対筋重量はHeat群を除く群でCont群より低値を示し、Heat群、Ax群、Heat+Ax群でUG群より高値を示した。7日間の尾部懸垂は、筋原線維分画においてCalpain2およびユビキチン化タンパク質の増加をもたらしたが、Heat+AxはSusと比較して有意に低い値を示した。一方、筋タンパク質合成に関わる細胞内シグナル伝達系には変化は認められなかった。以上の結果より、熱ストレスとアスタキサンチンの組み合わせの負荷は、ヒラメ筋における筋タンパク質分解の亢進を抑制し、尾部懸垂による筋萎縮を抑制することが示唆された。
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