2010 Fiscal Year Annual Research Report
伸張性収縮の収縮様式がタンパク質合成・分解シグナル分子群に与える影響
Project/Area Number |
20500584
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
中里 浩一 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (00307993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 英輔 明治学院大学, 教養教育センター, 講師 (90468778)
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Keywords | 伸張性収縮 / 角速度 / 神経損傷 / p75NTR / シュワン細胞 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
一昨年度本研究においてラット腓腹筋に対して伸張性収縮運動を5回4セット行う際に収縮速度が遅い(60deg/sec,SIow群)条件下では伸張性収縮後一週間にわたって足関節発揮トルクに有意な変化はなく、Akt、mTORなどのタンパク質合成系のシグナル分子が活性化するものの、収縮速度の速い(180deg/sec,Fast群)条件においてはほぼ一週間にわたって有意な発揮トルクの低下が見られるとともにFOXOおよびミオスタチンの発現誘導、活性化が観察されることを見出した(Ochi et al.J of Appl Physiol,2010)。さらに昨年度同モデルを用いて収縮速度の速い群ではAMP kinase(AMPK)発現の亢進を確認するとともに、培養筋細胞C2Cl2においてAMPK活性化剤であるAICAR処理によりFOXO1およびFOXO3a発現が亢進し、同時にミオスタチン発現が亢進することも確認された(未発表)。AMPK活性化には様々なメカニズムが想定される。ごく最近brain-derived neurotrophic factor(BDNF)がAMPKの活性調節に関与するとの報告がなされた(Exp Physiol, 2010)。伸張性収縮時に収縮角度依存的に神経損傷が発生し、それがAMPK活性調節の起点となる可能性が想定される。本年度はこれまでに我々が用いていたモデルにおいて、坐骨神経に損傷が誘発されるかを検討することを目的とした。 実験モデルはこれまでどおりラット腓腹筋を用いた伸張性収縮モデルとし、速い角速度(Slow群)と遅い角速度(Fast群)の二群間で坐骨神経中のシュワン細胞および神経線維でのp75NTR(neurotrophin recepter)発現を免疫組織化学的手法にて解析した。シュワン細胞の検出には抗S100抗体を用いた。その結果特にFast群において、シュワン細胞であるS100抗体陽性部位および神経線維と想定されるS100抗体陽性シグナルに取り囲まれた円内のそれぞれにp75NTRが検出された。Slow群ではS100陽性のシュワン細胞にてp75NTRシグナルが検出されたが、神経線維部ではp75NTRシグナルは検出されなかった。 以上の結果から特にFast群において坐骨神経に神経損傷が誘発されており、タンパク質分解反応の起点になっている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)