2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動性疲労軽減効果を呈するコエンザイムQレドックスサイクルの作用機構
Project/Area Number |
20500587
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 正志 Kobe Gakuin University, 薬学部, 教授 (80194398)
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Keywords | コエンザイムQ / ユビキノール / 有酸素運動 / 抗酸化作用 / エネルギー代謝 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
コエンザイムQレッドクスサイクルは抗酸化作用を有する還元型コエンザイムQを維持する生体内機構で、これまでにその主たる働きが新規酵素・NADPH依存性コエンザイムQ還元酵素が担っている可能性を報告してきた(高橋、岡本ら:ビタミン,78,587-598(2004))。また、コエンザイムQ10はエネルギー産生賦活作用と強い抗酸化作用を持つ生体内物質である。このような重要な二つの作用を併せ持つ生体内物質は見当たらない。 平成20年度の本研究において、申請者は、ラットを強制水泳させて(尾部に体重の3%の錘を装着)有酸素運動を負荷すると、コエンザイムQ10経口投与群では、運動負荷にともなう血清乳酸値やLDH遊離量の上昇がコントロール群に比べて有意に抑制され、水泳継続時間が延長することを認めた。また、その際には、血清中のコエンザイムQ10の還元比率(還元型/総(還元型+酸化型))がコントロール群に比べて有意に低下したが、総コエンザイムQ10値には変動が認められなかった。さらに、コエンザイムQ10経口投与群では、肝細胞質のNADPH依存性コエンザイムQ還元酵素活性が上昇していることを確認した。 これらの結果は、有酸素運動にともなって生じた酸素ラジカルを消去するために生体のコエンザイムQレッドクスサイクルが働き、還元型コエンザイムQ10が動員され、消費された(酸化型コエンザイムQ10に変換された)こと、さらにはコエンザイムQのエネルギー賦活作用により細胞内ATP量が上昇し、疲労軽減効果が認められたものと推察された。したがって、生体中の還元型コエンザイムQを維持する機構であるコエンザイムQレッドクスサイクルは、有酸素運動時に生成する酸素毒性を軽減する重要な防御機構のひとつであることを示唆した。
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Research Products
(1 results)