2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童・生徒の発達とシックハウス症候群との関連についての調査
Project/Area Number |
20500590
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
上山 真知子 Yamagata University, 地域教育文化学部, 教授 (80344779)
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Keywords | シックハウス症候群 / 発達 / 支援 / 児童・生徒 / 調査 / 学習 / 眼球運動 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
シックハウス症候群と診断された児童・生徒およびシックハウス症候群が疑われる広汎性発達障害の児童・生徒を対象に、(1)親からの聞き取りによる生活状況、(2)WISC-IIIの実施、(3)毛髪サンプルによるミネラルバランスの調査(調査対象者と居住を共にする家族も含む)、(4)各対象者の生育歴の調査、行い、その結果を分析した。 生活状況については、不登校事例は、平成20年度以来継続していたコンサルテーションに従って生活を続けた結果、学校での適応は良好な状態が継続していた。学習面では、地図の読み取りや図形問題、スペリングが苦手とするケースが多かった。対象者のほとんどがすでに中学生になっており、自分の得意な領域の学習で不得意分野を補う努力をするなどをしがら自覚的に行うようになっていた。シックハウス症候群では、特に思春期のアイデンティティ形成の問題との関連で、自分の問題点を知りながら将来設計を考えていくためにも、カウンセリングが重要な支援となることが明らかとなった。 広汎性発達障害のケースの生育歴の検討を行った結果、乳児期よりアレギーを発症している場合が多かった。アレルギー疾患の罹患が、広汎性発達障害のケースでは情緒面の安定に影響しているという事例がみられた。 知能検査の結果は、シックハウス症候群の中学生事例では、統計処理が可能な症例数を集めることはできなかったが、言語性IQと動作性IQとの差が少なくなっていた。 平成20年度より継続して行った毛髪検査の結果では、シックハウス症候群の場合には、家族全員が類似のミネラルバランスの傾向を示したが、広汎性発達障害の場合には、家族とは異なる傾向を示していた。 環境由来と思われるシックハウス症候群の発達傾向は、経過が良好である場合には、知的発達や社会的適応において改善する可能性のあることが認められた。
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