2010 Fiscal Year Annual Research Report
若者の自殺関連行動の実態調査と予防教育の試み-いじめに注目して-
Project/Area Number |
20500591
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
内田 千代子 茨城大学, 保健管理センター, 准教授 (80312776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 八平 茨城大学, 保健管理センター, 教授 (20219728)
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Keywords | 精神保健 / 自殺 / いじめ / 大学生 / 思春期、青年期 / うつ病 / 不安障害 / 予防 |
Research Abstract |
いじめを苦にした青少年の自殺が数件続けて起こり、群発自殺ともいえる異常現象が生じた。また、研究代表者の調査では、大学生の死因の第一位を自殺が占めており、早急な対策を要する事態である。若者の自殺関連行動の実態について、特にいじめに注目した心理社会状況調査、精神状態調査が焦眉の課題である。その実態調査を基にして、自殺予防プログラムを日本の若者に試みて、自殺の防止に役立てることが目的である。 自殺予防のためには自殺関連行動に深く関係するうつ病や不安障害などの精神障害を知り、自分が罹患したことに気づき、治療を受ける行動を起こすことが必要である。希死念慮のある若者が他者に援助を求める行動を起こすように促すとともに、友人のサインを見逃さずに適切な行動をとれるようになることを目指すプログラムの実施をめざす。 A大学の学生・大学院生を対象に、自殺に対する態度、意識、経験などについての質問紙による実態調査を行い、結果を集計分析した。約9%の学生が身近な人の自殺を経験し、約6%は真剣に自殺しようと考えたことがあることが分かった。男性は女性よりも自殺を肯定する傾向があった。実際男子に自殺は多い。また、いじめ経験と希死念慮は、有意に相関が認められた。60%以上の学生が保健管理センターの存在を知っていた。しかし、筆者の全国調査からは、自殺者の多くは学内センターを利用していない。性別による意識の違いやいじめ経験、遺された人に配慮した自殺予防プログラムにより、援助希求行動が促されて、保健管理センターを有効に利用するようになることの重要性が考えられた。面接調査では、特に遺された人のポストベンションに留意した。 講義時間を使って暫定的自殺予防プログラムを行い、その前後および3カ月後に、自己効力感を問う質問紙を実施し、教育の効果を測定した。その結果、大教室クラスでは顕著でなかったが、約40人の小クラスでは、教育の実施によって、友人の自殺の危険に気付いて支援を申し出ることについての自己効力感が高まった。また、そうすることで自殺の危険を減らすことが出来ると考える傾向が高まった。また、"遺された人"に精神科受診を勧めることの有用性を意識づけることが出来た。
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Research Products
(15 results)