Research Abstract |
青少年の心身の疲労感,身体の不調,学習意欲の低下,不登校等は,一因として生活スタイルの夜型化による生体リズムの乱れに原因が求められる。そこで,ストレスの指標としてのコルチゾール,睡眠との関連性が指摘されているメラトニン,さらに昼間ダメージを受けた細胞の修復及び精神的活動との関連性も報告されている成長ホルモン等の日内変動を総合的に分析し,生体リズムのバイオマーカーとして確立させる基礎研究をめざしている。更に,このバイオマーカーから得られたデータに,アンケート等による心理的な分析を対応させ,現代青少年の生活スタイルや健康の自己管理について検討することを研究目的とする。 本年度の研究成果として,まず第1に,従来外注に頼ることの多い生理的指標としての唾液腺ホルモン分析を,筆者らが開発したプロトコルで分析したことである。得られたデータは,他の指標と比較し,信頼性が高いことが確認された。第2に,この生理的指標を通して,青少年の生体リズムに関する詳細な情報を得ることできるようになったことである。具体的には,朝の心身の状態が良好な被験者群は,良好でない群と比べ,生体リズムが,本来め健康的な概目リズムに近いことが示された。 本年度の研究結果を更に分析すると,コルチゾール,メラトニン,成長ホルモンの概日リズムの特徴や相互関係,各ホルモンの分析上の限界も浮かび上がってきた。今後分析上の課題を解決しつつ,それぞれのホルモンの概日リズムから,青少年の生体リズムを総合的に分析していこうと思う。このように本年度の研究成果から,今後の研究進展の展望が見えてきた。
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