2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500595
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 千史 Tokyo Medical and Dental University, 保健衛生学研究科, 教授 (60154069)
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Keywords | 咀嚼 / 疲労 / 心理状態 / QOL / 児童 / 健康教育 |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果によりガム咀嚼の短期効果が確認された.しかし,長期間のガム咀嚼の効果については明らかにされていない.そこで,14日間のガム咀嚼が大学生の疲労と心理状態に与える影響に関する介入研究を行った.関東のA短期大学に在籍する18歳から31歳までの健康な男女24名を対象に,介入群(以下ガム群)と対照群(以下ミント群)に無作為に割付け,介入前・介入後(15日目)と追跡期間(29日目)における疲労度,QOLおよび心理状態の変化を検討した.介入前の2群間に各指標における有意な差はみられなかった.しかし,15日目には,身体疲労度(p=.005),精神疲労度(p<.001)に2群に有意な差がみられた.また,STAIの状態不安(p=0.037),POMSの疲労(p=0.036),混乱(p=0.002),総合感情障害(p=0.033)の各項目でガム群(n=9)の方がミント群(n=8)と比べて良好な状態に変化した.一方,29日目にはすべての項目で2群間に有意な差が示されなかった.以上により,長期間のガム咀嚼は疲労の軽減,心理状態の改善効果をもつことが明らかとなった.さらに,ガム咀嚼をやめると改善効果が維持されなくなることから,咀嚼を習慣化する必要性が示唆された. これらの知見から,生活習慣の基礎が形成される児童期に咀嚼を習慣化することが重要であると考えられた。そこで東北地方のB県の公立小学校全校(321校)を対象に咀嚼に関する健康教育の実態調査を実施した。その結果,半数以上の学校で咀嚼指導が行われているが,多くは給食や歯みがき指導と併せて実施されていることが示された。より効果的な指導を行うために,咀嚼の重要性ついての知識教育、咀嚼体験、親子合同での授業の機会を設けるなどの工夫が必要であることが示唆された.
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