2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500595
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 千史 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (60154069)
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Keywords | 児童 / 咀嚼 / ガム / ストレス / 不安 / ローレル指数 |
Research Abstract |
子どもの咀嚼不足や軟食化は、顎骨の発育不良や肥満などの身体的健康問題の原因として危惧されている。そこで本研究では、平成21年度~平成22年度にかけて28日間のガム咀嚼による介入研究を実施し、児童の心理状態への影響とその効果を検討し、1年後の追跡調査を実施した。 28日間のガム咀嚼の対象はY県内の2小学校に在籍する小学校5年生の児童64名であった。ガム咀嚼は市販のガムを用い、1日2回、1回5分行う内容であった。ガム咀嚼開始前を1回目、Aグループの咀嚼終了後を2回目、Bグループの咀嚼終了後を3回目とし、アンケート調査や体格測定等を実施した。その結果、2群間のストレス度には有意差がみられなかったが、対象児童全体のストレスは1回目と比べて3回目で有意に軽減し、ガム咀嚼は児童に効果的な介入方法である可能性が示唆された。 上記の結果より、平成22年度にはY県内の1小学校に在籍する小学校5年生の児童35名(対照群)、および前年度にガム咀嚼による介入を受けた6年生の児童39名(介入群)を対象に追跡調査を実施した。ストレスや不安は年度、学年ともに有意な差はみられなかった。しかし、普段の食事の咀嚼状況に関して、よくかむ、ふつう、よくかまない、の3択で回答を求め、各群のストレス得点およびローレル指数を比較した結果、食事をよく噛んでいると答えた児童は、噛まない児童よりもストレス得点と肥満度が有意に低いことが示された。 ガム咀嚼が児童の心理状態に与える影響については明確に示されなかったものの、食事の咀嚼状態と心理状態および肥満度との間に関連がみられた。今後は、咀嚼習慣の確立や咀嚼機能の向上がどのように健康の維持増進につながるのか、あるいは健康の維持増進のために咀嚼をどのように取り入れるのかについて検討していく必要がある。
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