2009 Fiscal Year Annual Research Report
貯蔵遺伝子発現を指標とする抗酸化食品成分の効果検証系の構築と疾患予防
Project/Area Number |
20500619
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
生山 祥一郎 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 准教授 (20184393)
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Keywords | 遺伝子 / 脂質 / マイクロアレイ / 発現制御 |
Research Abstract |
細胞内への過剰な脂肪蓄積はインスリン抵抗性を惹起し、2型糖尿病、動脈硬化、脂肪肝など種々の病態を引き起こす。我々は細胞内脂肪滴形成に関わる蛋白を「貯蔵遺伝子」と呼称し、その遺伝子発現を制御することにより、これらの病態の発症・進展を予防する手段を探索している。貯蔵遺伝子の一つであるAdiposed ifferentiation-related protein(ADRP)は脂肪肝で高い発現を示し、ADRP発現を遺伝子工学的に抑制すると脂肪肝発症が抑制される。我々はフランス海岸松樹皮抽出物ピクノジェノールの作用をマクロファージで解明したのに引き続き、本年度の研究では肝細胞でのADRP発現を抑制する効果を明らかにした。ピクノジェノールは遊離脂肪酸負荷によるADRP発現増加と脂肪蓄積増加を抑制することを明らかにした。このADRP発現抑制の分子機構はマクロファージにおける機構とは異なり、ADRP mRNAの分解を促進することを見出した。このように同じ抗酸化食品成分でも組織(細胞)により作用機序が異なることは、天然複合化合物の生理作用が単純ではないことを改めて示唆する。我々は糖尿病や関節リウマチなどの患者で末梢血白血球のADRP発現が亢進していることを見出したので、末梢血白血球におけるADRP発現を抗酸化食品成分の作用を分類する効果検証系として利用できるものと考えられる。そこで抗酸化食品成分を摂取した場合の白血球に発現する遺伝子の変化を網羅的に解析するため、臨床試験の倫理審査を受審中である。一方、このような天然複合化合物がサプリメントとして利用されている実態を明らかにするため、専門医受診中の関節リウマチ患者で調査を行い、60%の患者がさまざまなサプリメントを利用していることを明らかにした。次年度は抗酸化食品成分が作用する遺伝子発現の網羅的解析に基づいてカスタムチップの開発をめざす。
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