2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動と食事の介入が酸化ストレスと内臓脂肪アディポサイトカインに及ぼす影響
Project/Area Number |
20500624
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
有田 幹雄 Wakayama Medical University, 保健看護学部, 教授 (40168018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
内海 みよ子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (00232877)
牟礼 佳苗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90268491)
辻 あさみ 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 講師 (60310794)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 動脈スティフネス / 心血管危険因子 / 身体活動 |
Research Abstract |
【対象・方法】中高年の男女44名(男性22名、女性22名、平均年齢53.9±13.7歳)を対象に、MetS群と非MetS群に分け、MetSの構因子を含む心血管危険因子と上腕-足首間PWV(baPWV)を2群間で比較した。さらに対象者を運動群(1日1万歩歩行の身体活動を日常生活で実施)と非運動群(積極的運動を行わない)の2群に分け、身体活動の効果を検討した。また、身体活動によるbaPWVの変化量と他の危険因子との関連を検討するため、単相関係数を用いさらに重回帰分析を行った。 【結果】MetS群(n=22)は、男性が有意に多く(p<0.05)、体重、BMI、腹囲が有意に高値であり(p<0.001)、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、中性脂肪(TG)、インスリン(IRI)、HOMA指数等においても有意差を認めた。baPWVでは、MetS群で有意に高値を示し(p<0.05)、またbaPWVと他の心血管危険因子との相関では、腹囲、血圧(SBP、DBP)、TC、IRI、微量アルブミン尿との関連が認められた。 身体活動では、運動群と非運動群の歩行数に有意な差を認め(p<0.05)、運動群の身体活動前後の変化量では、体重、腹囲、血圧(SBP、DBP)、糖代謝異常等で有意な改善を認めた。さらに、baPWVにおいても有意な改善を認あ(p<0.001)、また、腹囲、SBP、DBP、IRI、血清アディポネクチンとの関連を示した。重回帰分析によるbaPWVとの関連では、腹囲(B=0.505,p<0.001)、年齢(B=0.325,p=0.011)、DBP(B=0.293,p=0,026)が決定因子となった。 【結論】今回の検討より、MetSでは心血管危険因子と動脈スティフネスが高値を示し、MetSの病態における内臓脂肪蓄積から生じる、インスリン抵抗性や代謝異常などが関連し、動脈硬化形成に影響を及ぼし早期動脈硬化指標のbaPWVが上昇した可能性が示唆された。また、1日1万歩程度の身体活動は、MetSの構成因子である心血管危険因子とbaPWVの改善を示し、さらにbaPWVの変化量には腹囲の変化量との関連が認められた。そのことより、内臓脂肪蓄積の減少が早期の動脈硬化形成に影響し、1万歩歩行程度の身体活動はMetSにおける動脈硬化予防において有効な手段の一つとなる可能性が示唆された。
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