2008 Fiscal Year Annual Research Report
魚油の糖・脂質代謝および脂肪肝改善効果の機序についての研究
Project/Area Number |
20500626
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
加園 恵三 Josai University, 薬学部, 教授 (90177387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 伸代 城西大学, 薬学部, 講師 (60337483)
村木 悦子 城西大学, 薬学部, 助手 (80369157)
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Keywords | 魚油 / 水素添加魚油 / 不飽和脂肪酸 / 抗酸化物質 / 肝臓中脂質 / 脂質代謝 / 糖代謝 / 成分 |
Research Abstract |
魚油は、糖・脂質代謝における調節因子の活性やその遺伝子発現量を調節することにより、代謝性疾患改善効果を示すことが知られており、その効果を担う因子としてドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)が有力視されているが、魚油の糖・脂質代謝に対する影響がDHAとEPAの作用に必ずしも一致しないことが報告されている。本研究では、糖・脂質代謝に影響を及ぼす魚油成分を調べることを目的とし、魚油に含まれる不飽和脂肪酸、抗酸化物質、これら以外の成分が、糖・脂質代謝に与える影響について検討した。 マウスを、大豆油食(SBO)群(対照群)、抗酸化物質が添加されている通常用いられる魚油食(FO)群、脂肪酸を飽和化させ不飽和脂肪酸の影響をなくした水素添加魚油食(HFO)群、抗酸化物質を低用量添加した魚油食(LFO)群に分けて11週間飼育した。 体重は、SBO群と比較して、HFO群、FO群、LFO群で増加が抑制された。肝臓中の中性脂肪量と総コレステロール量は、HFO群において、共に他群に比べ有意に増加していたが、血漿中性脂肪濃度はHFO群でのみ有意に低下し、血漿総コレステロール濃度はHFO群、FO群、LFO群で同程度に低下した。経口糖負荷およびインスリン負荷試験では有意な群間差は認められなかったが、血漿アディポネクチン濃度はSBO群と比べ、HFO群では同程度、FO群とLFO群では上昇する傾向がみられた。以上の結果から、糖代謝においては明確な結果が得られなかったが、魚油に含まれる不飽和脂肪酸は、脂質代謝の適性維持、血漿アディポネクチンの上昇に関与し、不飽和脂肪酸と抗酸化物質以外の成分は、体重増加抑制、血漿コレステロール濃度低下に関与することが明らかとなった。
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