2009 Fiscal Year Annual Research Report
水中運動による抗動脈硬化作用機序の解明―3D管状ヒト血管モデルによる基礎的解析―
Project/Area Number |
20500629
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
島田 和典 Juntendo University, 医学部, 准教授 (60327814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 大地 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80255653)
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Keywords | 生活習慣病 / 水中運動 / 動脈硬化 / 免疫応答 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化症の発症や進展に対する水中運動の効果を臨床的に明らかにするとともに、その磯序を、管状血管モデルにより免疫学的により解明することである。 本年度の成果を総括する。1. 動脈硬化症の発症や進展における免疫応答細胞群の役割:ヒト末梢血からCD14細胞をMACSにより分離しGM-CSFIIL-4刺激によりmyeloidDCに分化させた。急性冠症候群の患者より分化誘導したDCは、安定狭心症の患者より分化誘導したDCに比し、CD83/CD86の発現、CCL19、CCR7、TLR2、TLR4、TLR9の遺伝子発現は高値であった。また、IL-6、TNF-αの産生は高値であり、それぞれのDCの活性化マーカーとは有意な正相関を認めた。CCR7は動脈硬化の進展や退縮に関与する可能性が指摘されている。現在、CCR7のリガンドであるCCL19の役割も含めて、健常人および水中運動群との比較検討を行っている。2. 3次元管状ヒト血管モデルによる検討:研究代表者らのプロトコールにより作製した3次元管状ヒト血管モデル(Circ Res 2008)を用いて、樹状細胞・マクロファージ・リンパ球との共培養を行なった。リンパ球は、マクロファージに比しDCとの共培養により有意に活性化した。現在、活性化リンパ球とDCとの共培養、酸化LDLも含めたTLRリガンド刺激について検討を行っている。3. 水中運動参加者における臨床的指標と免疫応答細胞群の役割:昨年度に引き続き、本年度も水中運動参加者も含めた一般健常人からインフォームドコンセント取得後に血液サンプルを採取した。水中運動等の運動習慣は、健康関連QOLの維持に役立つことが示された。心血管疾患に関連する種々のバイオマーカーや、前述のDCの遊走・分化に関与するCCLI9も含め測定し、現在検討を継続している。 本課題は、水中運動の抗動脈硬化作用を基礎的、臨床的に検討を行う独創性の高い研究である。その結果から得られる知見は、社会的にも意義のあるものと考えられる。
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