2010 Fiscal Year Annual Research Report
水中運動による抗動脈硬化作用機序の解明-3D管状ヒト血管モデルによる基礎的解析-
Project/Area Number |
20500629
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
島田 和典 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60327814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 大地 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80255653)
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Keywords | 生活習慣病 / 水中運動 / 動脈硬化 / 免疫応答 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動脈硬化症の発症や進展に対する水中運動の効果を臨床的に明らかにするとともに、その機序を血管モデルにより解明することである。本年度の成果を総括する。 1. 動脈硬化症の発症や進展における免疫応答細胞群の役割:CD14細胞をMACSにより分離しGM-CSF/IL-4刺激により樹状細胞(DC)に分化させた。急性冠症候群例のDCは、健常人や安定狭心症症例のDCに比しCCL19, CCR7等の活性化マーカーの発現は有意に高値であった。動脈硬化モデルマウスでの検討では、自発運動により動脈硬化の発症や進展が有意に抑制され、運動量とは有意な負の相関を認めた。大動脈におけるDC、マクロファージ、リンパ球の侵潤は、自発運動により有意に抑制された。3次元管状ヒト血管モデルを用いたDC・マクロファージ・リンパ球との共培養系での検討では、活性化リンパ球単独に比較して、活性化DCとの共培養下で有意に血管炎症が惹起された。また、マクロファージに比しDCとの共培養により有意に活性化した。すなわち、DCの活性化が先行することが血管炎症に重要であることが示唆された。一方、マクロファージは、LPSと同様に酸化LDL刺激によりIL-8を含む種々の活性化マーカーの発現亢進を認めた。DNAマイクロアレイによりマクロファージサブセットの検討を行ったところ、酸化LDL刺激により活性化されるマクロファージは、主にM1であり、TGF-βを介する経路が重要で有ることが明らかとなった。2. 臨床指標との比較:水中運動等の運動習慣を有する例は、運動習慣のない例に比し体脂肪量、血清脂質、血中の高感度CRP値が低値であった。運動、脂肪蓄積、慢性炎症がそれぞれ関連することが示唆された。3. 研究成果の発表・意見交換:以上の成果を英文・和文誌に発表した。 本課題は、水中運動の抗動脈硬化作用を基礎的、臨床的に検討を行う独創性の高い研究である。その結果から得られる知見は、社会的にも意義のあるものと考えられる。
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Research Products
(19 results)