2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア酸化ストレスによる骨格筋老化の分子機構解明
Project/Area Number |
20500641
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
清水 孝彦 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (40301791)
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Keywords | 加齢 / 酸化ストレス / モデルマウス / SOD / 骨格筋 / ミトコンドリア / ATP / 運動能力 |
Research Abstract |
ミトコンドリア呼吸の副産物して発生する活性酸素による組織傷害は加齢による生体機能低下の主要な原因と考えられている。我々は骨格筋機能低下における活性酸素傷害モデルとして、骨格筋特異的Mn-SOD欠損マウスを作製した。Mn-SODはミトコンドリ内腔のマトッリックスに局在し活性酸素の一種であるスーパーオキサイドを分解する活性を持つ。本欠損マウスは正常に発育し、体重等の形態学的な異常は認められなかった。骨格筋重量を調べたところ、若齢および30ヶ月齢においても筋萎縮は認められなかった。組織学的な解析で、腓腹筋において中心核が顕著に認められ、筋繊維の再生像が観察された。さらに、ミトコンドリア呼吸酵素活性を調べたところ、呼吸酵素複合体II活性が著しく低下していた。運動機能を調べるために自発行動量と強制走行能を調べた。その結果、自発行動量は野生型マウスと有意差は認められなかったが、トレッドミルによる強制走行能力が著しく低下していた。またその低下は著しい血中乳酸値の増加と骨格筋内ATP量の低下を伴っていた。抗酸化剤による運動機能レスキューを試みるために、SOD/カタラーゼ活性を有するサレン-マンガン錯体EUK-8を30mg/kgで腹腔内単回投与した。その結果、24時間後に著しく強制走行時間が延長し、96時間まで走行能力が持続した。またEUK-8投与により、骨格筋内ATP量は野生型マウスと同レベルに回復していた。一方、走行後の血中乳酸値は高値のままであった。以上の結果から、骨格筋特異的Mn-SOD欠損マウスは骨格筋内ATP量が枯渇することで強制走行能力が低下し、抗酸化剤投与によりATP量が回復し、走行能力が延長することが明らかとなった。
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