2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア酸化ストレスによる骨格筋老化の分子機構解明
Project/Area Number |
20500641
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
清水 孝彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40301791)
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Keywords | 加齢 / 酸化ストレス / モデルマウス / SOD / 骨格筋 / ミトコンドリア / ATP / 運動能力 |
Research Abstract |
加齢性の筋力低下や骨粗鬆症に代表される運動器老化は高齢者の生活の質を低下させる要因となっている。レドックスバランスの調節が加齢に伴い破綻し、運動器老化を促進すると考えられているが詳細な分子機構は不明である。Mn-SODはミトコンドリアで、CuZn-SODは細胞質で活性酸素種の最上流物質スーパーオキサイドを過酸化水素と酸素に変換する。これまでのノックアウトマウスの解析から、Mn-SOD欠損マウスは致死性な代謝異常により新生児期に死亡するため、運動器でのMn-SODの役割は明らかにされていない。一方、CuZn-SOD欠損マウスは致死性の重篤な病態は示さないが、様々な組織で老化様変化を示すことがわかっている。本研究は運動器老化におけるSODの役割を調べるために、SOD欠損マウスの運動器を解析した。骨格筋特異的Mn-SOD欠損マウスは、体重、摂餌量、耐糖能、筋量は野生型マウスと変わらず正常であったが、筋細胞の中央に核が偏在した中心核を呈し筋再生像が顕著に認められた。また筋ミトコンドリアでのスーパーオキサイドの産生と酸化DNA量(8-OHdG)が有意に増加していた。運動能力は細胞内ATP枯渇により著しく低下し、ミトコンドリア機能不全を支持した。さらに抗酸化剤の単回投与により可逆的に運動機能が改善した。以上の結果から、運動器のレドックスバランス破綻は骨格筋の機能低下を引き起こすことが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)