2010 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国の地方再活性化の要因解明-北タイ農村の電化を通じた19年間継続研究
Project/Area Number |
20500655
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
益本 仁雄 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (80245349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 由佳 大妻女子大学, 家政学部, 助教 (60348480)
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Keywords | 発展途上国 / 地方再活性化 / 北タイ / 農村 / 要因解明 / 19年間継続研究 / 経済化・情報化 / 電化 |
Research Abstract |
北タイのアンカイ村は、1990年代初頭未電化で情報孤立の状態であったため、村人の情報の収集と活用は極めて不活発で、それが要因で生活がタイでも底辺の水準であった。ところが1996年末の電化でテレビを通じて大量の社会情報が流入し、村人は、情報行動を飛躍的に活発化させ、生活水準を高める行動を主体的にとるようになった。一時は、若者の都市への流出、家族の崩壊、共同体の衰退の道を歩むかに見えたが、最近では、換金作物の栽培を徹底する一方、都市での成功者が村に戻り、家屋を新築、商店を開店させ、農業依存から脱出をも図っている。また、携帯電話、パソコン等の情報環境が新たな生活スタイルが生じている。19年間継続研究により村の底辺からの脱却、活性化、衰退、及び再活性化の変遷実態が明らかになった。 4月から前年度に引続きデータ分析に取組んだ。8月に宇都宮が当該村及び近隣の村人へ生活意識・実態調査をした。7~9月には、行政機関、情報キーマン、ロヤルプロジェクト事務所などから聞取り調査と村人の生活水準の実態調査を現地協力者のマニト・イムヤム氏に依頼し、9~10月日本に招聘して結果の報告・検討を行なった。 (1)生活の質(経済状態)の向上実態を把握するため、家族、家計、耐久消費財保有等の調査を行い過去データと比較分析した。 (2)家族と共同体の機能・構造の変容と維持・継続させる要因を析出のため、人口動態及びアンケート調査を実施し、そのプロセスとメカニズムを明らかにした。 (3)社会情報処理の能力獲得について、過去の調査結果と比較分析し、情報処理能力の進化プロセスを解明した。 (4)(1)~(3)の研究結果を統合し、村人の情報活用による再活性要因の解明、同様な問題を抱える他の地域や国への汎用を検討して提言をまとめ、最終報告を大妻女子大学紀要に発表し、要旨を日・英・タイ語に翻訳して大学や関係機関に配布した。
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