Research Abstract |
本研究では,住環境の空調において温熱的快適度を維持しつつエネルギー消費を低減させるための新たな空調制御方法について検討している.申請者が行ってきた住環境の温熱特性のモデル化手法および居住者の温熱的快適感に関する研究をさらに発展させ,温熱環境での居住者の温熱的快適感と温熱環境に対する要求を推定し,この推定値をもとに居住者ごとに個別に必要最低限の空調を行うことで,エネルギー消費の無駄を省き,エネルギー効率の向上を図る空調制御方法の開発をすすめている. 本研究では,ネットワーク上に存在する不特定多数のセンサ情報を選択的に使用し,その選択状況を動的に切り替えながら,空調装置の運転時にオンラインで住環境の温熱特性をモデル化する.また,居住者の温熱環境に対する要求を抽出する方法を検討し,空調を必要とする居住者近傍のみ空調制御を行う.これらの実現のため,(1)安価な小型高精度快適度センサを開発し,これを数多く用意して,オフィス空間における快適度分布を計測する.(2)その際,不特定多数のセンサ群の中からの必要センサを選択し,選択状況を変更しながら,快適度を推定する方法を検討する.(3)次に,複数の居住者の温熱環境に対する要求の抽出方法を検討し,要求抽出のためのシステムを構築する.(4)そして,居住者の要求と快適度モデルとの関連付け方法ならびに空調制御への反映方法を明らかにし,実験,シミュレーションの両面から,本システムの有効性を検討する. 平成21年度は,上述の(3)に相当する研究を実施した.前年度に開発した小型高精度快適度センサネットワークを用いてオフィスの温湿度を計測するとともに,居住者の快適感,温冷感の記録を取るためのシステムを開発した.ネットワーク上の不特定のセンサ値と各居住者の示す快適感との関連付けを行い,これに基づき居住者個々の快適感を推定する方法を検討した.
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