2010 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由児の衣生活支援アクティビティとQOLの向上をめざした衣服の改善
Project/Area Number |
20500672
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
雙田 珠己 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00457582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
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Keywords | 衣生活 / 運動機能障害 / QOL / ADL |
Research Abstract |
1.下衣着脱時の心理的・生理的負担の測定(健常者による基礎的な実験) 肢体不自由児の下衣着脱時における生理的負担を考察する基礎データとして、健常者の下衣着脱時における生理的負担を求めた。被験者は18~23歳の健常な女子大生15名とした。被験者の原型を個別に作成したうえで、着脱困難さが異なるズボンとして試験着A(標準的ゆとり量)・試験着B(ゆとり量最小)を製作し、各試験着の着脱動作に関わる心拍数、血圧を測定した。さらに、HF/TP、LF/HF、加速度を生理的負担の指標として求め、官能評価と併せて考察した。実験の結果、着衣動作について以下の3点が明らかになった。(1)試験着Bは試験着Aに比べ着衣中の心拍数の増加が大きく、着衣所要時間は試験着Aより10秒程度長く必要とした。(2)着衣後の仰臥安静状態では、試験着Aは着衣後1~2分でHF/TP優位な状態となり、着衣後3分でLF/HFが有意に増加した。それに対し、試験着Bは、着衣後1~4分はHF/TP優位な状態となり、着衣後5分までにLF/HFの有意な増加はみられなかった。(3)着衣困難性に関する官能評価は、試験着Aに問題はなく、試験着Bを着衣困難と評価する人が多かった。以上の結果より、官能評価で着衣困難と評価された試験着Bの生理的負担の特徴は、着衣中の心拍数上昇が大きく、着衣後の仰臥安静状態では副交感神経優位な状態が長く続き、交感神経の回復は遅れる傾向がみられた。 2.肢体不自由がある人を対象とした修正衣服の製作と着用テスト 被験者を補充するため新たに脳性マヒの女性を対象に面接を行い、被験者として研究に協力する同意を得た。 3.保護者を対象としたアクティビティと活動の中から考案されたエプロンの商品化 肢体不自由特別支援学校の保護者からの要請に応じ、アクティビティを平成23年1月に実施した。また、エプロンは実用新案と意匠が登録され、企業との共同研究によって商品化をめざすことが決定された。
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