2010 Fiscal Year Annual Research Report
離れた家族をむすぶバックグラウンド・コミュニケーション支援方式の構築
Project/Area Number |
20500675
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
甲 洋介 法政大学, 国際文化学部, 教授 (70343613)
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Keywords | 長期入院児童 / 周辺的コミュニケーション / 質的研究 / フィールド調査 / コミュケーション支援ツール / 多文化情報空間 / 家族生活史 |
Research Abstract |
本研究は、近年急速に増加している、離れて暮らさざるを得ない家族どうしをむすぶコミュニケーション支援方式の構築を目的とし、家族が同居中の時には無意識に行っている非言語的なバックグラウンド・コミュニケーションをうまく活用した、家族が過度な負担を感じないで済む新しいコミュニケーション支援方式の構築を狙う。本年は3年計画の研究の最終年にあたる。 家族の別居には様々な事情が考えられる。研究代表者(甲)とカナダMcGill大学・Cooperstock教授は、カナダ東部居住の家族を対象に家族内のパックグランド・コミュニケーションの形態とその効果について共同調査を行い、音響的なperipheral cuesが同居家族の感情状態推定に重要な役割を果たしていることを見出し、国際学会において成果を発表した(Kinoe他,2007)。平成20年度では、独居高齢者と家族の場合に着目し、東京近郊介護施設居住の高齢者と家族を対象に、日常生活における家族員間でのバックグラウンドコミュニケーション活用の実態をフィールド調査し、結果に基づき、コミュニケーション支援ツールを製作し、成果を論文にまとめ、日本人間工学会で公表された(野田・甲,2009)。平成21年度と22年度は、「長期入院児童とその家族」の支援に着目した。長期入院児童を看護した経験を持つ母親、院内学級教員を対象に、質的研究に基づくフィールド調査を行い、その結果、周囲から孤立しがちな母親支援の重要性を指摘して、母親支援に主眼を置くコミュニケーション支援方式を4つ考案し、その初期評価を得た。特に家族の「呼吸」動作を基盤とした新しいコミュニケーション方式の可能性が示唆された点がユニークである。この研究初期成果をまとめた論文は日本人間工学会に採択され、平成22年に公表された(尾島・櫻井・甲,2010)。
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